ここはとある予備校。予備校に通う高校生の成 歩登夫(なる ほどお)が教師である良切 海(よきり かい)の教室で経済について学んでいます。前回の話

 

海:さて、今回はこれまでのまとめ的な話だ。

中央銀行の操作によって民間銀行からお金が市場に流れてくる。その流れたお金でぼくたちは経済活動をしているんだったね。

 

歩:この図は先生の説明では見てきましたが、学校の教科書では見たことありませんでした。

 

海:そうだろうね。代わりに学校の教科書ではこんな円形の図が使われる。

 

でも、これでは銀行がお金を創造し、市場に流れていく動きが分かりにくい。

 

お金の流れは基本的には一方通行だ。中央銀行と民間銀行のみがお金を造り、法人(企業)や個人へ流していく。だから三角形の図の方がわかりやすい。

 

歩:逆流はしないんですね?

 

海:さっきの円形図で言わせれば、確かに個人は法人(企業)から買い物するし、法人(企業)も銀行に預金したり、融資を返済したりする。

 

だけど、そのお金は元々上から流れてきたものの一部を使ったり、返済したりしているだけだ。法人(企業)や個人がお金を創ることはできない。

 

もし創ったら、造ったらと言うのが正しいけど、偽札作りで逮捕されてしまう。

 

歩:そういえば、銀行から借りたお金を返済するとそのお金は消えると前に先生は言っていましたよね。逆流はしない。上から下に流れるだけ…。確かにわかりやすいです。

 

海:経済は通貨発行をコントロールする中央銀行を頂点に、一般市場を底辺とする三角形で見ることにより、お金の創造とその後の流れが理解しやすくなるんだ。

 

さあ、次回からは銀行が一般市場に与える影響力をより詳しく話していくよ。

 

参考文献 :天野統康 著『あなたはお金のしくみにこうして騙されている』徳間書店(2011)注アマゾンのリンクです。