通信社の現在 

 敗戦の1945年、同盟通信社は一般ニュースを扱う共同通信と経済ニュースを扱う時事通信とに分割されました。この2社が現在でも日本を代表する通信社となっています。

 

 国民を戦争へ扇動した同盟通信社社長の古野は一度は戦争犯罪を問われA級戦犯の容疑者として逮捕されますが、無罪釈放されて、現役を退くものの通信業界の重鎮として強い影響力を持ち続けました。

 

 古野が務めた要職は、日本新聞調査会会長、東京タイムズ取締役、時事通信取締役、共同通信理事などです。なんと、1963年には日本新聞文化賞を授与されています。

 

 古野については、同盟通信社が戦争責任を問われ、GHQによって跡形もなく解体される前に事前に自発的に解散し共同通信と時事通信として残したという手柄話があります。

 

 しかし、これは国民側からすれば、戦争を煽った人材がそのまま戦後も日本の通信界に居座っただけの迷惑な話です。

 

 また、アメリカ側にとっても、権力の言いなりになるマスコミ人は使い勝手が良いので、同盟通信社にいた人材はかえってGHQにとって都合が良かったとも言えます。

 

 そして、同盟通信社が形を変えただけで存続した両通信社の現在はというと、ロイター通信、AP通信、AFP通信などの欧米の通信社と契約してニュースを国内に横流ししているだけです。

 

 自主取材することもありますが、いずれもその視点は欧米通信社に同調するだけで、国益となるような独自の視点や議論を持っているわけではありません。

 

 言うなれば、現在もロイター通信やAP通信の日本支社のような存在に過ぎず、ロスチャイルド陣営とロックフェラー陣営の都合で設立した戦前の国際通信社と同じ構造です。

 

 そして、日本人の多くがこのような通信社が配信するニュースを新聞やテレビを通じ漫然と受け取っているのです。

参考:THINKER署「マスコミとお金は人の幸せをこうして食べている」徳間書店(2011)