二十世紀梨を生んだ千葉県 松戸の梨作り | 前田浩明のラボ (別室)

前田浩明のラボ (別室)

オリジン生化学研究所 所長
ただいまコーヒーブレイク中

 

江戸時代後期の文政3年(1820年)頃の紀行文「遊歴雑記」には、

松戸宿からは水戸街道の両側に梨棚の木がたくさん植えられていて

花がよく咲いていた様子が記されています。

 

梨の栽培の歴史は古く、日本書記の持統天皇(690年697年即位)の章に、

梨栽培奨励の記事があるので、

少なくともそれより前から親しまれていた果物だということが分かります。

 

千葉県は、日本梨の収穫が全国一位で、

次に茨城県、福島県、栃木県、鳥取県と続きます。

 

松戸市は、県内では6番目の産地で、

特筆すべき点があります。

 

それは「二十世紀梨の誕生の地」であるということです。

 

 

その歴史は、大橋村(当時は八柱村)に住んでいた松戸覚之助が、

家の裏庭に若木を見つけ、消毒や肥料、袋掛けなどに気を付けて育てること10年。

白く上品な甘みのしたたるような水分が素晴らしい梨。

これが二十世紀梨の始まりと言われています。

 

明治時代より、二十世紀梨(青梨)と

神奈川の梨園で発見された長十郎(赤梨)が二大ブランドとなりました。

 

その後二十世紀梨の原樹は、

多くの苗木を生み出しましたが、すこしずつ弱ってきたために、

千葉県高等園芸学校(現千葉大学園芸学部)の三木教授と相談し、

国の天然記念物として保存することにしました。

 

二十世紀梨の中でも、栽培面積も多く最も品質が良く、

多くの優れた品種の親となったことが認められ、天然記念物に指定されました。

しかし、昭和19年の空襲で被害を受け、昭和22年に枯れています。

 

梨栽培では、黒斑病や空襲の被害で栽培を断念する産地も多く、

ふるさとの松戸でもあまり作られなくなっていました。

 

しかし、鳥取県は例外で産学官が一体となり病気対策に取り組み、

一大産地となっていきました。

2001年までは生産日本一を誇っていました。

 

鳥取県では、松戸市から渡った二十世紀という品種が大切にされていて、

鳥取県立鳥取二十世紀梨記念館 

という、国内でも唯一の梨の博物館が2001年に開館しています。

 

二十世紀梨の苗木が松戸市から鳥取県に渡り、

100周年を迎えた平成16年には、様々な交流イベントが行われました。

 

松戸市の二十世紀公園にある「天然記念物二十世紀梨原樹」の碑の右側面には、

「史跡名勝天然記念物保存法二依リ昭和十年十二月文部大臣指定」

と刻まれています。

 

 

今月の千葉県の梨の収穫時期は以下の通りです。

 

新高(9月から10月)

極めて大きな品種。酸味はなく、品質は良好。

 

新興(10月上旬)

こくのある甘みがあり、軟らかく果汁が多く、品質良好。

 

 

梨には、整腸作用や疲労回復など、健康にも美容にもよい栄養素がたくさんあります。

美味しく食して健やかな毎日をお過ごし下さい。

 

 

オリジン生化学研究所

所長  前田 浩明