俳句エッセイ  いじめを跳ね返す力とは | 俳句のとりな

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俳句を愛するかたとともに

 

ある古本屋で、ふと目にとまった一冊の句集。


次は、その中に掲載された100句ほどの俳句の一部。

 

 ブーメラン返らず蝶となりにけり  小林凛

 竹林の衣となりぬ春霞

 ゆつくりと花びらになる蝶蝶かな

 虫捕れば手の甲春が叩きけり

 かき氷含めば青き海となる

 ゴーヤ熟れ風に新聞読まれけり

 駄菓子食べ昭和に戻る秋の午後

 台風や夜の星まで連れ去りて

 紅葉で神が染めたる大地かな

 夕日指し冬の一日を回収す

 

これら10句は、 自らをかえりみて、自分は、こうした表現は出来

いなと感服した俳句。


景が、よく見えますし、とても清らかで、気持のよさが伝わってき

ます。

 

俳句は、性別、年齢、生い立ちなど、一切関係なく、作品そのも

のを鑑賞するもの。

 

そうした観点から鑑賞して、上記の俳句は秀逸で、他者がしてい

ないような表現を、自然にしています。


ご存知のかたもおられるでしょうが、作句当時、作者、小林凛君

は小学生で、上記は、9才から11才までの作品。

 

早産のため、 体重が普通の赤ん坊の半分しかなく、生死をさ迷

いますが、困難を乗り越えて成長。


幼稚園児のとき、テレビや絵本で俳句を知ったとか。

 

しかしながら、 小学校に入ったころから、成長の遅れのため、壮

絶ないじめに出合い、何度か登校拒否に。


そんないじめの最中、三年生のときに、朝日俳壇に初入選。

 

もともと好きだった自然や昆虫に触れ、 家族の協力で俳句の勉

強に拍車がかかります。

 

身の危険を感じての登校拒否の期間中、いじめの句を含めた約

300句を作句。

 

小学校六年生のときに、 第一句集を上梓して、世間の注目を浴

びることに。

 

  いじめ受け土手の蒲公英一人つむ  小林凛

  いじめられ行きたし行けぬ春の雨

 

小学校6年間というもの、いじめにくじけずに、頑張ってきた小林

凛君を支えてきたのは、家族の愛情と、まさに俳句。

 

 句作とは苦しみの苦や外は雪 小林凛

 

そう言いながらも、自然に触れ、作句している姿は、楽しそうです。

あらためて、俳句の力を感じさせられました。

 

[今日の一句]

 

・登校の冬のスキツプ弾みをり

 

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