・透きとほる少年の手や柿若葉
中七を切れ字の「や」で切り、下五の季語へとつなぐ形は、俳句の
万全な型といわれているものの一つです。
初心者にとっても形としては作りやすいため、取り合せということが、
よく行われますが、この取り合せには、難しい面も。
取り合せる内容によっては、 二つ以上の事柄が響き合わず、 言外
の意味を生じさせないため、陳腐に思われてしまうことがあります。
取り合せには、 素材と素材、 言葉と言葉の響きあうことが求められ
ます。
この切れ字の「や」で中七を切り、下五の季語へとつなぐ形は、下五
を連用形にして、上五へと戻る形にすることができます。
俳句が循環することで、鑑賞者の印象を強くすると言われており、一
般によく行われています。
掲載句の場合は、次のように。
・透きとほる少年の手や柿若葉
↓
・柿若葉少年の手の透きとほり
また、次のような例も。
・立ち騒ぐ天地の香や草の餅
↓
・草餅や天地の香の立ち騒ぎ
・教会の鐘のかすれや春惜しむ
↓
・行く春や教会の鐘かすれゐて
コンクールなどには、たくさんの応募がありますので、同じパターンば
かりではなく、 異なったパターンのものも投句してみると、 よいかもし
れません。