「ねぇ、ハピ」
ラキは、ウサギのような生き物に、話しかけた。ハピと呼ばれたウサギのような生き物は、
「やっつよい?」と、答えた。
「パチンコ、行こうか」
「いっせ、いっせ」
2人は、パチンコ店へ向かった。
「クソッ、また、ハズれた」
いつも、ハズレばかりの男が、いまいましくつぶやいた。
「あーあ。チーン!ジャラジャラと、当たってくれないかなぁ」
そんな独り言をつぶやいた瞬間、
「呼とや?」
いつの間にか、隣の席に、猿のような生き物がいた。
「うわああああ!」
男は、思わず、大声を出してしまった。周囲の視線が、痛い。
「ついとらんなて思ったら、僕ば呼んでばい。僕の名前は、『ラキ』っていうとだ、よろしくね」
「あ・・・ああ・・・」
男の目は、定まっていない。
「おじちゃん、1発、出してみる?」
「いいよ、どうせ、また摩るし」
「そう言わずにさ」
「やんないよ」
「タバコ、いる?」
「お、気前いいな。オジサン、気分よくなっちゃった」
「じゃ、ついでに、1発 出してよ」
「うっさい。オジサンは、ついてない人なの」
「すぐ、決め付けるとだから。おじちゃん、そういうの、良うなかよ」
「うっさい。猿に、言われたくないね」
「いしもっこすだなぁ。彼女、いつまで経っても、でけんよ?」
「猿に、心配されたくないね」
「自信もちなよ」
「うるさい、うるさい、うるさーい!」
「シュン」
「猿に言われるくらいなら、名人に教えてもらいたいわい!」
「じゃ、僕が、教えてあげようや?」
「やだね」
「どこまでも、いしもっこすな人だね。せっかく、人が教えてあげようかて思ったのに。そぎゃんんで、彼女、でくるて思う?」
「うっさい。猿のクセに、御託、並べおって!」
「猿、猿、言うな。俺は、猿じゃなか」
「どっから見ても、立派な猿だよ、エテ公」
「なんか、ムカッときたとは、気のせい?」
「少し黙ってろ、猿」
「猿、猿、せからしかぞ人間
「黙ってろ、エテモンキー!」
「それは、人類最大の差別用語だぞ、イエロージャップ!
「お前も、普通に使ってるじゃねぇか、エテ公」
「悪いや?」
「人の振り見て、我が振りなおせ」
「あ、おじちゃん!」
「話、そらすな!」
チーン!ジャラジャラジャラジャラ~ッ!
「出た・・・!」
「おじちゃん、スゴーイ」
「まぐれだよ、まぐれ」
「やるじゃん」
「まぐれだってば」
「もう1発お願いします、師匠」
「オーバーだな、まぐれだっつーてんのに」
「タバコ、もう1本、いきますか?」
「おし。オジサン、もう1発、出してやるよ」
「いよっ、師匠!」
「ラキ~・・・。お前・・・何しにきたんだよ~・・・?」
ハピは、呆れていた。