カルヴァンは律法の効用を3つあげています。

1、律法の社会的効用・・・人類全般に与えられたもので、人間の社会秩序の維持のために
律法が果たす役割です。


2、律法の教育的効用・・・私たち人間が罪と悲惨の状態にあることに気付かせ、救い主の
必要を教えます。律法は「キリストのもとへ導く養育係」(ガラテヤ3:24)です。


3、律法の規範的効用・・・キリストの救いにあずかった者が、神への感謝と献身の生活、
また真に幸いな生活の基準としての効用です。

これに対して、ルターはこの3つの効用を認めません。


ルターにとって、神の戒めは神の戒めとして私たちに向かいます。
それを聞く私たちが、神の戒めを律法として受け取るならば律法であり、福音として受け取るならば福音であると考えます。
そのために、ルターは福音のみによってしばられていくことが重要であって、律法の効用を認めないのです。
もし、自らのガイドラインとして律法の効用を受け入れるのであれば、それは必ず自分と他者の間のガイドラインになっていくと考えるからです。
それによって、裁きが生まれます。
よって、福音にのみしばられることを願うルターには「感謝の倫理」しかないのです。