真新しい制服を着た日に母親が一冊の本をプレゼントしてくれた。

その日は高校の入学式で、晴れた日だった。
高校生活の3年間その本は当然のように私のスクールバッグの中にいた。そのくらい好きな本で今でも捨てられない。
表紙のカバーはボロボロになってしまって、お別れせざるを得なかったけど。


山田詠美さんという方が書いた放課後の音符という本。

主人公は高校生活3年間でとびきり素敵な女性へと変化をとげる

主人公の名前は一切でてこないけど。

小説の中で登場する女の子達は主人公に沢山の影響を与える。

所謂、女の子から嫌われる子達が登場するけれど。

皆んなで凄く魅力的。


主人公の両親は離婚していて。

父親と2人で暮らしている。

とある会話がきっかけで父親は主人公に本物の女性になれるようにと香水をプレゼントする。


この本のあとがきに。

〜良い大人と悪い大人を、きちんと区別出来る目を養ってください。良い大人とは、言うまでもなく人生のいつくしみ方を知っている人たちです。悪い大人は、時間、お金、感情、すべてにおいて、けちな人々のことです。若いということは、はっきり言って無駄なことの連続です。けれど、その無駄使いをしないと良い大人にはならないのです。死にたいくらいの悲しい出来事も、後になってみれば、素晴らしき無駄使いの思い出として、心の内に常備されるのです〜

山田詠美著、新潮文庫、p186引用

と書いてある。



高校卒業の日。

母から、放課後の音符の小説覚えてる?と聞かれた。

私は高校時代この小説が本当に大好きで何回も読んだ。

母は私に指輪をプレゼントしてくれた。

18Kのリボンの指輪。


母は私にこんな言葉をくれた。

これから看護学校に行って大変なことは沢山ある。

社会人になっても大変なことは沢山ある。

でもね。

世界は凄く凄く広いから。


沢山の無駄使いをして。

思いっきり人生を楽しんでね。






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