不幸を愛する精神(その1:ホリエモンShockとSCN-Shock)  | Oriento's Online Club

不幸を愛する精神(その1:ホリエモンShockとSCN-Shock) 

 4月26日、Sonyが、So-Netを事業展開する子会社(SCN)の普通株式の株式公開を検討していくことを発表した(注)が、これは、

   ①  Yahoo Shock

   ②  ホリエモンShock

に続く、第三のショックをIT業界のみならず多くの業界に影響を与えて行くだろうが、特に、電機業界に重大な「構造転換」のヒントを与えるだろう。 (注: Sonyは、SCN社に、ライブドア、もしくは、楽天風の錬金術を期待していると言われている。)


 電機、特に、情報通信業界では、過去、事業の分割と専業化が成功の秘訣であった時代が続いた。 

 有名な案件としては、以下のような事例があるだろう。


 ・ 北米IBM社が、ハードウエア価格とは別に、ソフトウエア価格を設定・要求することを決定した。

 ・ 北米IBM社が、パソコンビジネスを独立させた。

 ・ 台湾TSMC社が、ウエファー・ファウンドリ・サービスだけを行うビジネスを開始した。

 ・ NTTが、携帯電話ビジネスを切り離した。


 一方、

 ・ ケイタイ電話の本体価格の値下げ競争が激しく、1円やら、0円での販売が始まった。(ケイタイShock)

 ・ ゲーム業界では、ゲーム機本体の価格を低く押さえ、ソフトウエア販売や、ライセンス収入にて利益を上げるビジネスモデルが成功した。

 ・ YahooBBは、ADSLモデムを無料で配り、携帯電話業界(Docomo、au、ボーダフォン)同様のモデルをADSLビジネスに用いた。 


 など、ハードウエアでは儲けない、ソフトウエア販売や、ライセンス収入、通話料収入など、消費者が気がつきづらい所で課金するビジネスが成功を納めてきている。 今後、ICカードや、TAG-IDなどでも同様の成功が予想されている。 


 とすると、「事業の統合」が成功の秘訣となる新たな時代が始まっているのかもしれない。

 

  ケイタイShockは、「HardWare部門に 儲ける必要は無い (事業が成り立つ必要は無い) と言いながら、会社全体としては 利益を上げるようなマネジメントを行う」 というような「経営力」が今後の利益の源泉となることを示唆している。


 この所の「ホリエモンShock」は、また、別の予感を業界に与えている。

 「ホリエモン・ビジネス」の個々の単位は、さほど収益性の良い事業を営んでいない。 しかしながら、彼は、「業界と素人投資家に対する情報発信力」と「時代に対するリーダーシップ」によって、個々のビジネスの株価を引き上げ、資金調達を用意に行い、そして、ビジネスを拡大している。 (この点は、本ホームページの3月27日の記事「ステージは時間軸」にて説明している。)

 つまり、極端にいうと、彼は、個々の実ビジネスと投資による虚のビジネスを統合することにより、利益を上げるというビジネス・モデルを成功させつつある。 彼のビジネスの本質的なコンピテンシーは、「業界と素人投資家に対する情報発信力」 と 「時代に対するリーダーシップ」 と 「投資ビジネス」 のシナジー効果を上げるマネジメント能力にある。

 

 そして、Sonyは、その「時代の変化」に気がつき、SCNを普通株上場させるというのである。


 この変化は、社内に沢山の「不採算事業部」を抱える今日のこの国の大企業にマネジメントの根本的な変化を要求することだろう。 

 個々の事業部の損益は、大した問題ではないのである。 (そんなもの良くなりはしない。 にも関わらず、個々の事業の損益に責任を転化している経営者のなんと多いことか。。。。。)

 

 「個々の事業ユニットの利益などはどうでも良い。  企業に利益をもたらす本質的なコンピテンシーは、個々の事業ユニット間のシナジー効果を上げるトップ経営者の能力にある。」 と言える企業だけが儲かる (生き残れる) という時代が始まっているのかもしれない。 (少なくとも大企業にては。)   

  「事業部制」は、過去に成功したスキームである。  「専業化」も、すでには過去のスキームなのだろう。  新たな「統合」の時代が始まっている可能性がある。  そこにおけるキー要素は、


  ・ 投資 (財テク) 能力

  ・ 業界に対するリーダーシップ

  ・ 企業内のスキーム変更能力

  ・ 異業種の他社との連携能力

 ・ ビジネスインテグレーション能力


となるだろう。  改めていうと、個々の事業ユニットの利益などはほとんどどうでも良いのである。  そんなことを追求するなど、責任転嫁 (企業内いじめ) でしかない。   事業間を統合することで、社会と業界に対して牽引力を示し、その能力に対する投資家の投票(投資)を受けることによって事業を拡大するというマネジメント能力こそが利益の源泉な筈なのである。  利益は、IT技術によってインテグレーション(提供)されたビジネス/サービスに対して、消費者から見えづらい料金を課して積み上げる。

  企業内でいじめを行うことにより自らの無能をひた隠しにする経営者は、モザルハザードの罪で追放されるべきである。

 

(注) http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200504/05-023/  


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