オデュッセイアを観てきました。

 

ギリシャ神話が好きで、ホメロスの『オデュッセイア』も翻訳で読んでいたので、とても楽しみにして初日に観に行きました。お話はとても分かりやすく、あっという間に3時間弱が過ぎました。映像も美しく、迫力もあって、見応えのある大作です。

ただ、見終わった後、なんとも言えない違和感が……。

 

『オデュッセイア』の舞台は紀元前8世紀頃。日本で言えば縄文時代後期です。それも史実ではなく、神話や伝承をもとにした物語。

それなのに、妙にリアルな描き方なのです。アドヴェンチャー映画のようです。

もちろん、それが監督の狙いなのかもしれません。でも私が期待していた「時代感」や「神話の世界」とは、違っていました。

 

この物語では、ゼウス、ポセイドン、アテナといった、人間には抗うことのできない神々と人間との関わりが、ひとつの大きな軸になると思うのですが、今回はそれが薄く、妙にリアルな人間ドラマのように感じられました。

そして、カリプソもキルケもペネロペも、私にはあまり魅力的に感じられなかった……。

 

カリプソは現在に至るまで多くの画家や歌の題材にされている魅力的な女神であるはずです。

この中ではロータスの花を食べさせ、島から離れないようにしている設定になっているし、キルケに至ってはただの怖い魔女。

 

ただ、作中で「無意味な殺し合いをしてしまった。彼らの魂を弔う旅に出る」という趣旨の言葉が出てきます。

もしかすると、そこがノーラン監督が一番伝えたかったことなのかもしれません。

どこかの大統領に聞かせたい言葉です。

……と言いつつ、ラストシーンでは結局、沢山の人を殺していました(これは神話の通りだから仕方ないですが)

 

どうしても気になって、YouTubeで1997年版の『オデュッセイア』を観てみました。

エグゼクティブ・プロデューサーは、フランシス・フォード・コッポラ。

主役はアーマンド・アサンテ、ペネロペはグレタ・スカッキ。

 

そして何より、

カリプソはヴァネッサ・ウィリアムズ!
ミス・アメリカです。本当に美しい!

アテナはイザベラ・ロッセリーニ。
あのイングリッド・バーグマンの娘です!

キルケはバーナデット・ピーターズ。
ミュージカル界のスターで、女優としても活躍した人。妖しくて、とても魅力的です。

ほかにもクリストファー・リー、イレーネ・パパスなど、超豪華な出演陣。

そして、アーマンド・アサンテはこの役でエミー賞主演男優賞を受賞しています。

 

私は、こちらの方がずっと好みでした。

ギリシャ神話を題材にしているだけに、ヨーロッパ系の俳優が多いことも含め、原作の持つイメージを大切にした構成になっているように感じます。

1954年公開の『ユリシーズ』が一番良かった、という話も聞いていますが、こちらは日本ではなかなか観る機会がなさそうです。

 

2026年版が、見応えのある大作であることには変わりありませんし、

船が海を渡るシーンは、とても美しく印象に残りました。