大辻織絵 ―「Yesだった。」 -12ページ目

大辻織絵 ―「Yesだった。」

織絵さんが、今日のことや昔のことを回想しながら、いまに生きるさまを書き綴っています。

先週、或るひとりの友が亡くなった。




彼女とは、歌を通して出会った。
出会って一年半ほど経つだろうか。

このブログを始めたのも、彼女と繋がる為だった。



知らせを受けたとき、
実はとても安堵した感じがした。

そんな自分を無情だ、とか、人でなしだとは思わなかった。
今も思っていない。




あれから、せいぜい1週間ほどしか経っていないのだが、2週間かそれ以上経ったような感じがしていた。
今日は、毎週やっているリハーサルの日で、よく考えてみると彼女の訃報を聞いたのは先週のリハの直後だったのだ。


今日のリハは、完成して何度か既に演奏している曲を今一度再検討再構築するのに始終した。
夢中になっていて、おおむね完成を見て、少しほっとしながらギタリストと話していた。

嗚呼、そうだったか・・・
彼女が亡くなってまだ1週間経つか経たないかくらいなのだと話しながら気がついた。




あの日、訃報を受け取った時には感じなかった気持ちがした。

どうしようもない寂しさが押し寄せた。




気づいたのだ。
彼女と私は音楽で繋がっていたのだ。

いつか出歩けるようになった暁に私の音楽で彼女に喜んでもらうこと…
これが、私が音楽をしている理由のひとつであったのだ、と。
そして、それはなかなかに大きな理由だった。
それに、気づかされた。

彼女の存在を通して、自分の奏でるものを聴いていた、ともいえるかもしれない。



肉体でもって、彼女にこの世界のリアルで聴いてもらうことはもう二度とないのだ。
魂になった彼女がどう存在しているのか、わかりはしない。
果たして魂というものが存在するのか、そもそもそれも、わかりはしない。
私自身は彼女が私達と全く違う次元で存在している感覚があるが、裏付けはない。



彼女が入院している病棟に演奏しにいく、という話しもあった。
それを計画している最中に彼女は逝った。
不思議だが、後悔はない。
もっと早くやればよかった、ゴリ押ししてもやればよかった…そういう想いは湧きあがってはこない。

2週間前に会いたいといってくれ、会いに行け、10月末に完成したCDをやっと手渡しできたことは天の配剤ともいえるだろうか・・・

あの日、彼女と、主人と私、三人で、
刻々と変わる午後の光のなかでポツポツと好き勝手な話をしあいながら過ごした時間がやけにリアルに思い出される。





このリアルの世界で私達の音楽が響いている様を、このリアルの世界の彼女に聴いてもらうことはもう二度とできないのだという事実が強く心の奥底で迫ってくる。
重低音のように腹の底に迫ってくる。



音楽をする私にとって、彼女の存在は大きかったのだ。
そのことに今更ながら、気がついた。




来週末、「音浴」という音楽会を開く。
こちらにもそのことはまだ書いていなかった。



彼女は、私の声をとても愛してくれていた。
私の歌をみんなに聴かせたいといつも言ってくれていた。
相変わらずPR下手というか、ぼんやりしているというか、
そういうことにあまり熱くなれない私なのだが・・・




「みんなに聴かせてあげなきゃもったいないわよ」

そんな声が聞こえてくる気がしてきた。
音楽会のこともここに記させてもらおうと思う。





いま、こうして書いているこの文章すら、彼女が読んでくれるような気がしてならない私が、いる。

まだ、信じられないのだな。




◦          ◦      ◦




kiRieの音浴・・・森林浴するように音を浴びながら過ごす、過ごし方聴き方に何一つ決まりのない音楽会です。ステージと客席の区分けも、演奏者と聞く側の境目もありません。
こうしなければならない、こうでなければならないことはひとつもありませんよ、と言われて、さて自分は何をどう選択するのか、ほんとうは何を選択したいのか、周りに起こることに触れて何を感じるのか、はてさて、自分はいったい何を考えて生きているのか、生きて来たのか・・・自分自身の初心本心へと帰るひとときです。


今夏、住まいの近くに非日常的空間を見つけました。
「float」という名の、その名の通り浮遊感、別世界感のある場所。
今回はこちらでの「音浴」開催です。


先月、母の生家の古民家にて二枚の寒冷紗に字を描きました。壁面の半分近くを占めるガラスと、字が描かれた透け感のある布を通して、冬の夕暮れの様々な光が目に入ってきます。
昼と夜の狭間ートワイライトに展開する音と光景を前に、身近なものを遠くに眺め、遠かったものを近くに眺めるような時間になりそうです。

日常という世界の数十センチ上にfloat <浮遊>するひとときをご一緒に。






「音浴」@ float  in Motoyama,Nagoya
 12月12日土曜日 16:00~17:30  ( 15時半オープン)
  入場料 ¥3,000


※企画とスペースの都合上、畏れ入りますが、必ずご予約ください。ご予約は、こちらのお問い合わせ欄にお名前とお電話かメールアドレス、参加人数を添えて、お申込みくださいませ。


レンタルスペース「float」
464-0819
名古屋市千種区四谷通2-8
YOU YOTSUYA 2階
http://floatmotoyama.wix.com/float







<お問い合わせ・ご予約はメッセージ欄にどうぞ。>