母と娘の物語

 

こんにちは。

 

毎日、かなりの暑さですね。

 

みなさま、体調は大丈夫でしょうか滝汗

 

夏の暑い日の外出には、甘いスポーツドリンクよりも「すっぱ・しょっぱい」お飲み物を携帯するのがおススメですよ~。

 

レモン汁と塩とかねジュース

 

うちでは、フルーツ酵素と梅酢を混ぜたものをお水に入れて持参しています。

 

おかげさまで、熱中症に悩まされることなく過ごせております。

 

さて、本日はこちらをご紹介します。

 

『母という呪縛 娘という牢獄』、こちらは2018年1月に起きた実際の事件【滋賀医科大学生母親殺害事件】を基に構成された、秀逸なノンフィクションです

 

昨今、さまざまなニュースを目にしますが、事件の詳細よりもその背景にある、「その家の親子関係」を知ることが大切なことではないかと思っています。

 

事件に関わったそのひとが、どんな家庭で、どんな両親のもとで、どういう風に育てられたのか、それを知りたいと思う方も多いのではないでしょうか。

 

それを知ることで、起きた事件を「対岸の火事」とせず、「もしかしたら、わが身に起きたことかもしれない」ととらえることができれば、自分を顧みることができます。

 

家庭内において、親子であっても夫婦であっても、つねに謙虚な気持ちで接することを忘れないようにしたいですよね。

 

他者を「自分の思い通りにしたい」という欲や怒りは、時に、ひとりの人間の人生の歯車を狂わせるほどの破壊力をもつということを、本作品が教えてくれます。

 

習い事でもなんでも、わが子に対する「アナタのため」は、「ワタシのため」であるということ。

 

そこのところを、親御さんはよくわかっていたほうがいいと思います。

 

 

以下、本作品の概要です。

 

母と娘――20代中盤まで、風呂にも一緒に入るほど濃密な関係だった二人の間に、何があったのか。
公判を取材しつづけた記者が、拘置所のあかりと面会を重ね、刑務所移送後も膨大な量の往復書簡を交わすことによって紡ぎだす真実の物語。
獄中であかりは、多くの「母」や同囚との対話を重ね、接見した父のひと言に心を奪われた。そのことが、あかりに多くの気づきをもたらした。
一審で無表情のまま尋問を受けたあかりは、二審の被告人尋問で、こらえきれず大粒の涙をこぼした――。
殺人事件の背景にある母娘の相克に迫った第一級のノンフィクション。

 

ー講談社BOOK倶楽部より抜粋ー

 

 

 

 

2018年に起きた事件の概要はこちらです。

 

 

娘を医大に進学させることに固執した母親からの、長年に渡る過剰な干渉と、異常なまでの支配によって9年も浪人をし、心が壊れる寸前までになってしまった高崎あかり(仮名)さんの、生い立ちや家庭環境は壮絶です。

 

わが子の自立を許さず、娘が家出すると探偵を雇ってまで娘の居所を突き止め、彼女の人生を奪った母親。

 

その母を殺害したあと、Twitterに「モンスターを倒した。これで一安心だ。」と投稿してしまうほど、母から逃れたかった娘。

 

そのふたりの人生を見るにあたり「もし、これが自分の母親だったら」と思いますし、「もし、この娘が自分だったなら」と考えずにはいられません。

 

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教育熱心にもほどがある、というレベルではない「異常な教育ママ」であった母親の妙子さん(仮名)。

 

彼女は、娘の成績が振るわないと、なんと煮えたぎる熱湯を娘の太ももに浴びせかけたり、包丁で傷つけたり、鉄パイプで背中に痣ができるほど殴打したりしていました。

 

教育という名の虐待です。

 

母の希望は「娘を、超難関の国立大医学部への進学させること」であり、これはあかりさんにとって、絶対的な命令でした。

 

そんな、鬼のような母親の期待にこたえるべくあかりさんは、9年にわたる浪人生活をなんとか耐えぬきました。

 

しかし血の出るような努力をしても、第一志望は叶いませんでした(そもそも、ご本人の希望ではないこともあったでしょう)。

 

そんな娘に裏切られたと思った妙子さんのLINEは、読んでいて頭痛がするほどの怒りに満ちています。

 

2017/10/18

あんたは中高の時となんら変わっていなかった。反省も心の成長もなく、私や母に対する責任感も持っていない。アンタの頭にあるのは、ただ自分が好きに生きるためなら人を利用して、裏切ることなんて何とも思わず、その場限りの口から出まかせが幾らでも言えて、バレたら逆切れして、最後は逃げる・・・。結局は自分以外の人間の気持ちなんて無視。アンタは、きっと助産師学校には行かないつもり。こうやって私も母も、まんまと騙されて終わり。

 

「母という呪縛 娘という牢獄」(齊藤 彩)講談社より抜粋

 

文中の「私も母も」とは、「あかりさんの母親と祖母のこと」です。

 

あかりさんには、妙子さんの実母でアメリカで暮らす祖母がおり、「アメリカに住んでいるおばあちゃん」ということで「アメばあ」と呼ばれていました。

 

この母の怒りのLINEに、あかりさんはこう返信しています。

 

いや、そもそも医大受験時も、私は別に「看護師になりたい!」と切望していたわけではなく、「ニート生活を終わらせたい!」という思いで頑張っていたので、私が助産師学校に気乗りしないことは、あまり問題ないと思います。今の気持ちとしては、看護師になりたいので、助産師学校を目指したい、ということです。

 

「母という呪縛 娘という牢獄」(齊藤 彩)講談社より抜粋

 

9年の浪人生活の間、あかりさんは何回か家出を試みました。

 

しかし母の妙子さんが探偵を雇って娘の居場所を調べ、結局は連れ戻されたりしました。

 

母から自立したい、逃れたいと就職しようにも、娘に執着した母によってその願いは、ことごとく潰えてしまいました。

 

あかりさんの願いは「なんとしても医大に合格したい」ではなく、「なんとしても母から逃れたい」という、この一点でした。

 

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「医大を受験して、医者になれ」と、国立大医学部への進学を強要され、その受験が失敗すると罵倒したり、親戚に対して「医大に合格したことにすればいい」と、嘘の報告をさせたりする母。

 

これは一体、誰のための受験なのでしょうか。

 

もともと優秀だったあかりさんは本来、国立大学の文系に合格するレベルの学力がありました。

 

しかし、「母の希望通りに医学部入学を果たさなければならなかった」ことにより、9年も浪人してしまったのです。

 

彼女は30代に入ってから、医大の看護学科に合格します。

 

順風満帆な学生生活を経て、母との関係も改善したかにも思える、楽しい日々が続きます。

 

看護師としての就職が決まった矢先、今度は母から、「看護師になるなんて許さない。助産師になるために受験しろ」と言われます。

 

母の妙子さんは「看護師として勤務するな。助産師を目指せ」などという支離滅裂なことを言うのです。

 

せっかく決まっている勤務先を断り、またあの受験地獄に陥ることをあかりさんは、何より恐れました。

 

誰かに相談したところで一体、誰に理解や共感が得られただろうかと、絶望に陥るのも無理のないことだと思います。

 

そんな状況であかりさんは本当に、どれだけ孤独でつらかったろうかと思います。

 

可愛がっていたシーズー犬のポン太ちゃんが、唯一の心の慰めだったように思います。

 

ご自分のメールアドレスを【pontanookaasann】としていたところに、涙がこぼれてしまいました。

 

ポン太のお母さん・・・。

 

「本当のお母さん」が欲しかったのは、あかりさんだったでしょうに。

 

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人は、過去世での未解決な問題を、今世に持ち越して解消するために輪廻転生を繰り返すと言われます。

 

その中で、親子・兄弟であっても「過去世で敵同士だった」ということもあるようです。

 

家族の中で、「どうしても気が合わないな」とか、「母親(父親)だけは許せん!」というようなこともあったりするかと思いますが、それも「過去世でのカルマの解消」という形で現れたことなのかもしれません。

 

今回のケースでは娘が自立しようにも、「逃げるに逃げられなかった」ということで、母親の娘に対する執着の壮絶さがよくわかります。

 

やむを得ず犯行を行ってしまったあかりさんですが、前出の母親の妙子さんからのLINEの文章は、まるで「母親を責めるような文章」であることに気づかされます。

 

妙子さんは幼い頃に実母と別れ、高校を卒業するまで叔母夫婦のもとで育っています。

 

妙子さんの母親である「アメばあ」は、日本でアメリカ人軍医と再婚し、夫につき従ってアメリカに移住しています。

 

つまり、娘を日本に置き去りにしているのです。

 

幼い頃から妙子さんは、自分を捨てた母のことを思わなかったことはないでしょう。

 

自分の娘に宛てた「ただ自分が好きに生きるためなら人を利用して、裏切ることなんて何とも思わず・・・」という怒りの感情は本来、母親である「アメばあ」に向けるべきはずのものでした。

 

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夫と離婚したのち、娘とふたりだけになった家庭の中で「自分の思い通りにならない人生」に、妙子さんの怒りとさみしさが渦巻いていたであろうことは想像がつきます。

 

娘を、自分の願望成就の道具にしてしまったのも、アメリカにいる母に恋焦がれていたからこそ。

 

「みてみて、お母さん。うちの娘、すごいでしょう?医大に合格したのよ!」と言いたかったのでしょうね。

 

義理の、アメリカ人の父親は軍医ですからね。

 

実の娘を罵倒し、干渉し、束縛し、人生を奪って破壊にみちびくほど、母親である妙子さんの心の傷が深かったということです。

 

いずれ、私か母のどちらかが死ななければ終わらなかったと現在でも確信している

 

あかりさんは、陳述書をこう締めくくっています。

 

もし自分が妙子さんだったら。

 

そしてもし自分が、あかりさんだったなら。

 

その時できた最善は、なんだったろうかと思います。

 

自分も娘であり、母親である以上、この事件は「他人事」ではなく「自分の物語だったかもしれない」と思います。

 

この親子の関係は結果的に悲劇を招き、ひとつの事件として世に知られることとなりました。

 

人はいつか「母に対する失恋」という心の傷を自分で癒し、真に自分の人生を生きなくてはならない。

 

妙子さんの生き方を通して、それを再認識したと思います。

 

あかりさんも、これからご自分の心の傷を癒していってほしいと、切に願います。

 

「母という呪縛 娘という牢獄」。

 

現在、親子関係でお悩みの方はぜひ、ご一読されることをおすすめします。

 

「母」にとらわれることなく、「娘」をとらえることなく、自分の人生を生きるために。

 

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