「ぼく」と「わたし」の物語

 
こんにちは。
 
関東、いよいよ梅雨入りしましたね。
 
これから紫陽花がしばらくの間、楽しめそうです。
 
さて、本日はこちらの小説をご紹介します。

 

中脇初枝さんの「きみはいい子」、こちらは2012年に刊行されました。

 

心に染み入る作品です。

 

 

映画にもなっていますので、そちらもおススメです。

 

 

「それぞれの家にそれぞれの事情がある。それでもみんなこの町で、いろんなものを抱えて生きている」

 

と、単行本の帯にある通りにこの小説は、それぞれに事情を抱えた大人と子供が織り成す、5つの物語で構成されています。

 

 

  いい子でなくていい

 

冒頭の「サンタの来ない家」は、こんな書き出して始まります。

 

その子は、いつも給食をおかわりして食べた。

 

でも、ちっとも太らず、やせっぽっちだった。いつも同じ服を着ていた。

 

なにかがおかしいと、教師になって二年目のぼくでも、さすがに気づくべきだった。

 

気づけなかったのは、ぼくのクラスが崩壊しそうになっていたから。

 

引用元:「きみはいい子」中脇初枝著/ポプラ社

 

 「その子」が、家庭に問題を抱えていることは確かです。

 

そして「その子」を見ている、まだ新米教師である「ぼく」。

 

彼の受け持つクラスは、学級崩壊を起こしかけています。

 

彼もまた、大人としての問題を抱えています。

 

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同じクラスで日々を過ごす生徒である、「その子」と教師である「ぼく」。

 

彼らは、あることをきっかけにして徐々に打ち解けてゆきます。

 

そんな「その子」と「ぼく」との、共鳴している部分とは。

 

  静かに語りかけてくる過去の自分

 

中脇初枝さんの小説は、いつも「静かである」という印象です、静謐でありながら、とても大切なことを伝えてくれています。

 

だからこそ耳を傾けずにはいられず、ひきこまれてしまうんですね。

 

心理描写がきめ細やかですし、展開する物語は、まるで映像のように目の前を流れてゆきます。

 

インナーチャイルドというものは「過去の未解決な感情」のことを言いますが、中脇さんの小説を読むと、自分の中にあるインナーチャイルドの声を聞きとりやすくなります。

 

まだまだ癒されないでいる、小さな「ぼく」や「わたし」。

 

彼らが語りかけてくれているからこそ、遠い過去の未解決な感情が浮上してくるのです。

 

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そもそも、「いい子」って、なんでしょうか。

 

かつて、そうして「いい子」を強制された子供たちは、大人になった時「生きにくさ」を感じ始めます。

 

「いい子」じゃなくていい。

 

誰かが決めた「わるい子」なんか、本当はいないのです。

 

ましてや「自分で自分をわるい子」だと思い込む必要はありません。

 

だけれど、子供はそれを自分ではわかりませんから、誰かが「きみはわるくない」と教えてあげなくてはなりません。

 

「自分がわるい」と思ってしまった子供は、大きくなってもずっと、迷子のままです。

 

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ここに登場するのは、「どうしたら、いい子になれるのかな」「どうしたら、愛されるのかな」と、途方に暮れている子供たちです。

 

大人になっても人の子の親となっても、今も途方に暮れたままの子供たちは、今もあなたの中にいるはずです。

 

「きみはいい子」、タイトルが気になった方、ぜひ。

 

心の潤いを取り戻せる一冊です。

 

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