単なるホラー映画ではなく、ある「家族」の物語

 

こんにちは。

 

こちら、ご覧になった方も多いでしょうか。

 

澤村伊智さん原作、中島哲也監督作品の「来る」(2018年)。

 

「来る」って、なにが?と思いますよね。

 

 

原作のタイトルは「ぼぎわんが、来る」。

 

いかにも怖そうですねえ。

 

「ぼぎわん」とは、何でしょうか。

 

 

 

  「来る」ものとは

 

ここから先はネタバレになりますので、「見ようかな」と思っている方はスルーしてくださいね。

 

物語としては、平凡なサラリーマン家庭を襲う超常現象がベースです。

 

そこに霊能力者・真琴と、その姉である最強の霊能力者・琴子の、比嘉姉妹が絡みます。

 

ファミリー向けマンションに暮らす、子煩悩な父親・秀樹とその妻・香奈、その幼い娘の知紗。

 

3人家族の田原家はある日を境に、怪異に見舞われます。

 

 

その日、秀樹が帰宅すると何者かに荒らされた暗い室内で、香奈と知紗は震えていました。

 

玄関から室内へと続く廊下には、秀樹の母親からもらったお守りがズタズタになって散らばっています。

 

そこへ電話がかかり、受話器をとった秀樹の耳に、この世のものとは思われないオソロシイ声が語りかけます。

 

その少し前にも秀樹の後輩に異変があり、後輩は社内で、秀樹の見ている前でいきなり大出血をします。

 

入院した後輩の背中にはまるで、「乱杭歯で噛み千切られたような傷跡」がありました。

 

秀樹と、秀樹に関係する人間が「異形のもの」に襲われ出したことから、彼は高校時代からの親友で、民俗学者である津田に相談をします。

 

津田の紹介によって秀樹は、ライターの野崎、そして霊能力者・真琴と知り合います。

 

いま田原家に脅威を与えているのは、いったい何者なのか。

 

「それ」の正体と対処法を知りたかった秀樹ですが、霊視の結果、真琴の出した答えはこうでした。

 

「奥さんと子供さんに優しくしてあげてください」。

 

その言葉に秀樹は動揺し、激怒します。

 

家族の心配をするフリをしていながら「実はそうではないこと」を、真琴に見抜かれたと思ったからです。

 

秀樹は「世間的には優しい夫であり、良きパパ」ですが、実は自分の承認欲求を満たすために妻と子を利用しています。

 

父親ながら育児ブログを毎日更新し、パパ友から「ベストファーザー」などと称賛される秀樹ですが、実際に子供の面倒など何ひとつ見てはいないのでした。

 

 

  モラハラ夫の「いいパパぶり」

 

発熱した娘の寝顔の写真を撮り、いかにも世話をしたようなコメントをつけていちいち、ブログに載せる有様。

 

妻が娘の面倒を見ている側で「親がイライラするのが、一番いけないんだってさ」などと言いながらブログを書く、そんな秀樹に香奈は心底、嫌気がさしていました。

 

秀樹は妻や子からでなく「世間から良い父親と思われること」にしか関心がなく、そんな彼の「理想の家庭」はブログの中にのみ、存在しました。

 

わが子が怪我をした時でさえ、たいした心配もせず病院で処置を待つ間も、ひたすらブログを書いているのです。

 

そのことを指摘されると、秀樹は香奈の母のことを持ち出し、「あんなひどい親に育てられたくせに」などと言って見下します。

 

見栄っ張りで思いやりのない秀樹は典型的な「モラハラ夫」でした。

 

霊能力者・真琴が「奥さんと子供さんに優しくしてあげてください。そうすれば『あれ』は、もう来ないから」と言いましたが、その言葉はまさに真実であり、一番大切なことを伝えていたワケです。

 

「あれ」とは、問いかけに答えると「お山」に連れてゆく化け物のことで、もともとは昔、秀樹の祖母が呼び出したものです。

 

 

それも「夫(秀樹の祖父)のDVに耐えかねて」のことです。

 

暴力のおさまらない夫を「お山」に連れて行ってもらうために。

 

  「あれ」に目をつけられたら・・・

 

「あれ」とは化け物である「ぼぎわん」のことです。

 

名前からして怖いですね。

 

秀樹は、子供の時からすでにその「ぽぎわん」に目をつけられていたのです。

 

「ぼぎわん」とは、「問いかけに答えた者をお山に連れてゆく」というものであり、問いかけられたら最後、逃れることはできません。

 

何より、「子供を大切にしない者」に容赦をしません。

 

結局、秀樹も香奈も「ぼぎわん」に襲われ、命を落とすことになります。

 

娘を守ろうとしたからではありません。

 

娘を、粗末にしたからです。

 

この映画を見ていて「結局のところ、その家庭の不幸の原因とは、夫婦の不和」と思わざるを得ません。

 

 

  愛されない子が「呼ぶ」もの

 

完璧な親はいませんから、夫婦仲の悪い家庭で成長する中で、子供としては傷つくこともあります。

 

だけど「それでも、自分は愛されている」と思えばこそ、生きていくことができます。

 

その後の人生を「幸せにしよう」と思うことができます。

 

親が発する「こんな子、いらない」だとか「産むんじゃなかった」などという言葉が、どれほど子供を傷つけるか、その子供の人生を台無しにするか。

 

たとえそう言わなかったとしても、心の内でそのように思っていれば、それは子供の心に確実に伝わります。

 

 

親が相手にしない・愛さない子供は、いったい誰が愛し、相手にするのでしょうか。

 

心の中にできてしまった暗闇に入り込むのは、まさにこの「ぼぎわん」のような化け物なのかもしれません。

 

「愛されない」「存在を認めてもらえない」という悲しみを、親が子供に持たせることによって、その後「親を憎む」という気持ちが芽生えます。

 

それは「インナーチャイルド」とも呼ばれるものです。

 

子供の持つ「怒り」「憎しみ」はやがて、その親本人にかえってきます。

 

  それはきっと「来る」

 

映画のタイトルである「来る」。

 

何が「来る」のか、ドキッとしますよね。

 

やって来るもの、「ぼぎわん」とは私の考えではその大元はインナーチャイルドであり、つまりはかつて「否定されたもの」です。

 

「来る」のは「愛してほしくて、ひとつになりたくて」ではないかと思います。

 

自分を、そして子供を粗末にすると、それはきっと「来る」。

 

 

家庭円満こそが、すべての幸せのカギですよ。

 

あなたのインナーチャイルド、しっかり癒していきましょう♪

 

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