まぶしい午後の日差しに目を細めながら
片側2車線の道路で前を行く車を追い越しながら
助手席の彼女をホテルに誘う。
彼女が僕に好意を抱いているのは知っているけれども
時にはクールに
時には無邪気に僕を煙に巻き
彼女はなかなか「うん」とは言わない。
「恋人にならないとできないの?」
「そんなこともない」
「じゃあ僕がだめなの?」
「だってあなたには奥さんがいるじゃない」
「それは僕の問題であって、君の問題ではないんじゃないかな」
「だってバチが当たる」
「え?」
「バチ」
バチ
罰
彼女の言う通りだ。
いや、もともとそんな道徳観は何の意味もないと思ってはいる。
どんなに悪事を働いても幸せに暮らしているやつはいるし、
どんなに善行を積んでも不幸な人はたくさんいる。
でも
彼女は彼女のルールを守る権利がある。
それはどんな理屈をも超えて守られなければならないし、
僕はそれを尊重しなくてはならない。
この混沌の世界に微かに差す
秩序の光を少しでも大切にしたいと願うなら。