アミドの加水分解(酸性条件下) | 有機化学勉強会

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アミドの加水分解(酸性条件下)の反応機構

 

  1. アミドのプロトン化・・・酸素原子にプトロンがついて、カルボニル基を活性化する(カルボニル炭素に、求核剤である水が攻撃しやすくなる)。アミドがプロトン化される位置は酸素である(窒素ではない)。
  2. 水の求核付加・・・活性化された(δ+性が上がっている)カルボニル炭素を、水の酸素原子が攻撃する。それと同時にC=O 部分の結合が「立ち上がる」。その結果、四面体中間体(真ん中の炭素がsp3)が生成する。
  3. アミノ基のプロトン化・・・水由来のプロトンが取れて、一方アミノ基の窒素がプロトン化される。上図では、同一分子内のプロトンがOからNに移っているように書いてあるが、そうとは限らず、溶液中に存在している他のプロトンがNに結合する可能性もある。
  4. NH3の脱離・・・プロトン化されて脱離能が上がったNH3が脱離する。その際、酸素原子から非共有電子対が「降りてくる」。酸素原子からの、いわゆる「電子の押し出し」である。
  5. 最後はカルボニル基の酸素についているプロトンがはずれて、一方、アンモニアはプロトン化されてアンモニウムになる。そのため、酸が消費される(つまり触媒回転しない)。

上記の「立ち上がる」と「降りてくる」をまとめて書いてしまって(四面体中間体を省略して)簡潔に反応機構を表す方法もある(下図)。ただしこの書き方は、上記の書き方を十分理解した人が使うものであって、初学者は下図の書き方を避けた方がいいと思う。四面体中間体でのプロトンの移動がどのようになっているのかを理解していないと、下図で脱離するのが「NH2」であるかのように勘違いしてしまうかもしれない。

 

参考

エステル交換反応