大工不足の問題の解消に、大型パネルが切り札になるか? | オーガニックスタジオ新潟社長の奮闘記 │ おーがにっくな家ブログ

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「オーガニックスタジオ新潟」社長のブログ。かっこいいエコハウスを提供するために日夜奮闘中。役立つ「家づくりの知識」は、オーガニックスタジオ新潟のHPにて更新。このブログでは個人的な関心ごとと「工務店経営」についてがテーマ

現在の木造住宅をめぐる工務店は、
様々な課題を抱えている。

中でも最大の課題は、大工不足と高齢化です。
職人さんがいないと、家を作りたくても作れないことになる。

 



ベネッセの「将来につきたい職業」の調査で、
小学生男子では、大工さんの名は挙がるけど、高校生になると皆無となり、
「夢から現実へ」   大工希望者が消えてしまう。


3Kの仕事の代表のように、安い給料で休みもなく、

夏は暑く冬は寒い現場で、辛い重労働をこなしている。
憧れの職業の実態と程遠いのが現状です。



大工さんの労務環境も改善し、
生産性も向上し待遇を向上させてあげなければ、家づくりの未来は無い。

かつて、2011年の東日本大震災の際にも、
大工さんのワーキングプアが問題視されたが、
抜本的な解決には程遠い。

 



関連記事  大工のワーキングプア問題を考える

例えばこれから暑い夏になるが、
現場作業員の熱中症対策が問われてくる。
現実問題、過去にも1人熱中症になって現場を離脱した大工さんもいる。

また近年、住宅の高性能化が進んできている。
例えば窓のサッシは、かつてアルミのシングルガラスであったが、
現代において、樹脂のトリプルガラスになってくれば、
重量は何倍にもなる。最大寸法のものだと取付にも4人がかり。


3x8の構造用合板であれば11㎏であるが、モイスになったとたんに25kgになる。
合板なら3枚運べたのが、1枚しか持てなくなる。

 



住宅の高性能化とは、重量化

なのに大工は待ったなしに高齢化が進み、
技能はあれども、体力の問題で扱うことができなくなる。

大工の仕事環境を、3Kからまともな状態に変えるには、
① 重労働の解消と、
② 暑さ寒さの解消
の、 両方を実現する必要がある。

 

 

木造大型パネルの登場

その切り札と目されているのが、木造住宅の「大型パネル」という技術である。

大型パネルとは、ハウスメーカーのプレハブ住宅と同様に、
工場にて最大5.4mものパネル製造し、現場で一気に組み立てる方式です。
今までも「パネル工法」はありましたが、
プレカットされた構造材を一度組み立ててから、軸間にパネルを組み込む方式が主流でした。

 

ハウジングトリビューンの別冊最新号で
木造住宅は、バージョン3.0へシフトするとの特集をしている。

 



バージョン1.0では、昔ながらの方法で、
大工さんが仕口を手で加工している状態である。

バージョン2.0では、構造がプレカットされて、
人間の技能に左右されず、より精度の高い構造が可能になった。
現在はこの段階が主流である。

バージョン3.0になると、さらなる高度化・効率化がされると言う。
その中核技術として、木造大型パネルが大きな可能性を秘めているとしている。

 




大型パネルでは、

木造軸組から、モイスの耐力面材、さらに重いサッシに、

付加断熱材、防水シートまで、全て一体に作られたパネルにすることができる。


だから、朝から組み立てを始めて、夕方までに屋根まで形付けられ、
鍵を掛けて帰ることができる。

 

翌日にはエアコンの利いた室内で大工さんは作業ができるという。
工期も2週間程度短縮され、現場監理も容易になり、

 

雨による品質の低下や、現場でのごみの発生も減る。

 



大工さんを重労働から解放し、
有能な技能者は、内部造作や家具製作へと専念してもらえればいい。

 

作る側からすれば、 いいこと尽くめにも見える新技術である。



高度経済成長期に、プレハブハウスメーカーは、
バージョン1.0の木造の低品質を攻撃しながら、
シェアを伸ばしてきた経緯があります。
(当時のSハウスの営業マンが使っていた、
 アプローチブックを実際に見たことがありますから間違いない)

 


木造もプレハブ化すると、肥大化し超割高になった、
彼らの存在意義を消滅させてしまう、インパクトがあります。

個人的には、ここいらへんが 一番わくわくする点ではあります。


そんな、
木造住宅の「究極の進化形」とも目される、大型パネルにて、
実際に、オーガニックスタジオでも、
試験的に、最初の1棟で採用してみました。

誌面の都合で、レポートはつづく・・・・・