F.L.ライトのヨドコウ迎賓館 | オーガニックスタジオ新潟社長の奮闘記 │ おーがにっくな家ブログ

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「オーガニックスタジオ新潟」社長のブログ。かっこいいエコハウスを提供するために日夜奮闘中。役立つ「家づくりの知識」は、オーガニックスタジオ新潟のHPにて更新。このブログでは個人的な関心ごとと「工務店経営」についてがテーマ

フランク・ロイド・ライトは、
アメリカ出身の建築家。 巨匠です。

大正時代に建てられた
帝国ホテルの設計者としてよく知られております。

 

A・レーモンドはライト事務所出身でもあるので、

記事のカテゴリーをレーモンド建築にしてますので、あしからず。

 

 

さて このヨドコウ迎賓館は、
灘の酒造りで大成功した
山邑家の依頼を受けて、1918年に設計され、
1924年弟子の遠藤新らの弟子に引き継がれて完成された、
日本で残る数少ない、ライト設計の個人住宅になります。

 

その後、淀川製鋼所が所有されて、長きに渡り管理されてきた
非常に頭が下がることです。
 

 



ライトは、オーガニック・アーキテクチャを標榜し、
有機的な建築を目指しました。

シンプルな、
地球のどこでも成り立つような、ユニバーサルデザインではなく、
形を自然の中から見出した、中も外も全て一体に働き合い、統合された、
生命体のような概念を「有機的」というわけです。

 



私たちの社名である「オーガニックスタジオ」も、
よく自然素材を使っているから「オーガニック」なんでしょ?
オーガニック食品から連想して、
オーガニックだと思ってる人もいるけれど、実は違います。

このフランクロイド・ライトの
オーガニックアーキテクチャの精神と同じで、

人間の手仕事の良さを生かし、中も外も、
家具も空間も、全て有機的につながりのあるあり方が
望ましいと考えている。

そうした「有機的思想」の本家本元が、
フランク・ロイドライトでありあります。

 



飯塚さんとの兵庫県ケンチク巡り。
建築博学と一緒だと心強いし、
飯塚さんの着眼点は勉強になります。

偉いなーと思ったのは、分からないことがあったら、
すぐに検索で調べること。
日ごろからのこうした知的な習慣が、人を強くする。 



ちょうど2016年の秋から改修工事を行い、
ようやく今年の春に、一般公開にこぎつけることができました。

館長様から、過去3回に及ぶ修理の苦労話を、
直接お聞きできたのは幸いでした。

 



前回の昭和の大修理の際の、動画が放映差されていて
見ることができる。
RCスラブの鉄のプレートが錆びついているのをはつって入れ替えて
コンクリートを流し込んだり、気の遠くなりそうな、
めちゃめちゃ大変な工事です。   関係者は必見。

 


 

産地でも枯渇している大谷石をこよなく愛したライト。

もう材料が無いから、大谷石の粉とコンクリートを配合して偽岩石をつくっている。

 

面白かったのは、配管点検口を開けると、
打ちっぱなしのコンクリートが見えてくる。
なんと鉄筋でなく、竹筋である。

 



館長によると、構造で力がかからない部分は、竹筋だという。
荒壁の木舞の感覚だったのでしょう。 との言葉に納得。

全体の印象としては、
非常に期待が高かったために、期待値を100とすると
見ての感想は70かな。。。。。。

これは 初めて見るライトの建築への 

勝手に盛り上がった期待値自体が高すぎただけではあるけれど。

建てられた当時は、
周辺がそれほど開発されてなかったのであろうから、
窓からの景色や屋上からのバルコニーの眺めなど、
とても凄いことになっていたと思いますが、

手の込んだ造作に力点が置かれていて、
外と中とのつながりが感動的でなかったこと。 

これは当時の建築の構造的な限界があるのかもしれません。



 

 

私は、装飾が気になった。
当時は建築費の中における職人の手間は安かったようで、
徹底して手間をかけた、彫刻なり造作なりでの装飾が多い。

レーモンドの時代になると、手間も上がり、
より簡素でシンプルな建築になっていく。



 

現代の観点からしたら、絶望的に不可能な凝った建物。
悪く言えば装飾過剰でくどいから、
ラーメンで言えば、一口めはうまいけど、
濃すぎるよね。毎週は食べられない濃い味です。

それがライトの魅力なんだろうけれど、
見る分では嫌いじゃないけど、とにかく濃いねという印象。

飯塚さんの印象では、
池袋の自由学園のほうがずっといいとの感想のようです。
特に、忠実に再現したという、内装のベージュのVP塗装の
質感を気にしていました。 外があれだけ有機的な仕上げなのに
てかてかの仕上げであるのはおかしい。
せめて黄土入りの砂漆喰であるならもっと印象は良いはずだと。
たしかに私もそう思う。

お聞きすると、完成当時の仕上げを忠実に再現して修理した結果だという。


そうした細かいことはさておいて、やはり建築としては圧倒的。

まずは、徹底した繰り返しのモチーフの徹底さが、すごい。
植物の葉をモチーフとした飾りが、
ありとあらゆるところで繰り返されリズムになり、
来る人を酔わせる。 こんな建物はそうそう日本にはない。

国の重要文化財の指定を受けていることもありますが、
その困難な修復作業を経て、
なるだけ忠実に維持管理しようとしている、
技術者や関係者の方々の大変さがよくわかって感動しました。



阪急電鉄芦屋川駅から、歩いてそんな遠くない、
尋ねやすい場所にあります。
注意するのは開館日が、週3日しかないことです。