日本エコハウス大賞でしのぎを削った、SUR都市建築事務所の浦田氏。
FBで有意義なテーマについての書き込みされてましたので、許可をいただき転載いたします。
「未だ温熱環境に関心を持たないアトリエ設計事務所へ」
「オーガニックスタジオ新潟のホームページが最近新しくなった。その作品事例をじっくり見てあらためて思った。最先端の温熱技術は持っている物の、失礼な言い方をすれば地方の設計施工の一工務店に過ぎない。しかし東京近辺のデザインを売りにしている(と自分では思っている)設計事務所で、温熱環境は無視しても、どれだけのところがこのデザイン力を上回っているのか?そしてこのようなデザインと温熱性能を高いレベルで両立させている工務店は一つだけではない。スーパー工務店とよばれるような会社がどんどん出てきている。設計を専業にする事務所は今の何倍もの努力をしないと生き残る道はないように思う。そしてそもそも設計専業という業態の先行きもどうなのだろうか。広くコラボを考えて行く必要もありそうに思う。危機意識を持たなくてはいけない。」
(浦田氏の作品、(自邸) 2017年日本エコハウス大賞優秀賞)
設計事務所顔負けの設計力を持ったスーパー工務店が登場しているとのご指摘です。
我々は、もともと設計事務所と工務店の垣根をあまり意識せず、かってにやってきましたが、
かつては設計事務所と工務店は分離するのが王道という方も多かったのです。
しかし、住宅においてはかなり情勢が変化していると思います。
オーガニックスタジオ新潟は、1級建築士事務所登録も、建設業登録もしておるので、
両方の機能を持っており、表向き工務店ですが、設計事務所を内包しております。
一体であることのメリットとしましては、
① お客様からすればワンストップで、設計・施工を頼むことができるのでシンプルです。
② 工事する監督と業者が決まっているので仕様を統一することができ、スケールメリットが働きコストダウンにつながります。
③ 施工チームも安定しているため、特にエコハウスに必要な高気密・高断熱の施行が熟練してくる。 収まりも標準化することで図面作成量も激減し生産性が上がる(これ重要)
設計施工の分離だと、その都度都度に施工店を変えることになり、発注がスポットになり、
施行精度が読めないこともあるので、仕方なく外張り断熱を管理がしやすいからとの理由で初期設定せざるを得ないというところも知っております。
意匠面でのスキルアップでもメリットがあります。
④ 長期雇用を前提として外部のスタッフを教育し、スキルがスキルアップつなげることができます。
(工務店は設計施工であるので、収益性が勝り、雇用環境をより良くすることが可能)
⑤ 設計事務所に比べ管理棟数が多いので、経験値を上げることにつながりやすいです。
⑥ 設計事務所は、意匠デザインで台頭せねばというプレッシャーもあり、リスキーな設計をして、アフターで信用を無くすことも多いが、工務店はそうしたプレッシャーは不要である。
まさにこうした背景から、注文住宅の設計だけをなりわいとした設計事務所は、従来のやり方だとかなり仕事が難しくなっていっていると感じます。 伊礼さんに代表される工務店との協業や、CLTを利用した中規模の中規模施設への対応など、業態や仕事の領域のシフトを図る必要があるかと思います。
浦田 義久 様
「建築家はマジメに設計すれば、どう頑張っても年間10棟程度かと思いますから、フィードバックは限られます。なので技術的な所では工務店の蓄積には本来かなわないはずです。ですからうまく協働出来れば互いに補強しあって最強だと思います。現実には難しい問題も多いでしょうけどね。」
相模
「おっしゃる通りです。エコハウスの設計運用は、経験を積みやすい工務店に利があります。 一部を除き、工務店も設計の魅力に乏しいところが多く、うまくかみ合えば地域がよくなると思ってます。 地酒のように地域を反映したおいしい住宅が増えていくのがいいことです。」