オイル仕上げで着色できる「彩速シリーズ」
着色できる「彩速シリーズ」になると、顔料が加わり自然塗料として使える。
100%植物性ではないが、使うのは、松煙墨や弁柄のような歴史的に使われていた完全無害のものばかりである。墨は炭素であるし、弁柄は鉄のさびのようなものである。
なめても毒ではない。
太田油脂の自信作は 久米蔵(くめぞう)という顔料である。
古色色にしたい京町家のリノベーションなどに非常に好評だという。
どうやら京都や飛騨高山にかけては弁柄を油で溶いて塗る文化があったが、
弁柄が高級品だったためにその代用品として、他の松煙墨や鉱物顔料を混ぜ込みブレンドした製品が開発されたという、それが久米蔵である。
それは一時大人気となり、日本中で用いられた時があるそうだ。
しかし、建築の現代化により使われなくなり、ついに幻の顔料といわれるほどになった。太田油脂の大塚氏が、久米蔵をひっそりと作っている製造主を探り出し、えごま油と混ぜることで製品化に成功したそうです。
先般、YKKのセミナーがたまたま 太田油脂さんのある岡崎だったので、講演の始まる前に
本社工場と、ショールームを見せていただきました。
ショールーム内部は民家の軸組が表されていて、久米蔵で仕上げられている。
サンプルでは分かりにくかった、全体の空間としてどうなるのか。
古色としては 究極です。
新材のヒノキと米松の構造なのに 70年以上経た 古い欅の色味を再現していた。
これは イケますね。
私のイチオシとしては、「淡雪」である。
白い塗装ということになっているが、シナベニヤの汚れ止めに使うのが非常に良い。
明るい内装にしたい時。リーズナブルなシナべニアの建具は定番である。
天井などは手を触れることがないので仕上げなくていいと思うが、
手に触れる建具類は汚れ止め必須になってくる。
ウレタンで塗るケースが多いと思うが、塗装費用が高くつくし、ツヤが出てくる。
自然系の住宅として、もう少しこだわりたい人も多いだろう。
でも、ただ単に油を塗る(オイルフィニッシュ)だと濡れ色になる。
写真: 左が素地の状態。 真ん中がオイル仕上げ 右が淡雪仕上げである。
淡雪は、木目も強く出ないで素地に似た状態を維持できている。
顔料は、ハマグリから作り出す日本の伝統顔料である「胡粉」かと思っていたが、
(創業当初、日本の伝統的な仕上げの研究をしていて挑んだことがある)
「試したが品質と色味が安定しないで、酸化チタンを用いている」とのこと
(セルフクリーン機能がある)光触媒にも用いられ、白い塗り壁でよく用いられる定番の素材だ。
なるほど納得であった。
この種のオイル仕上げは扱いが容易なので 素人DIYにも向いています。
新建材なんて使わないで、もっと木質仕上げを。
ウレタンもいいけど、もっとオイル仕上げを使いましょう。