建築家アントニン・レーモンドの五原則
アントニン・レーモンドは「建築設計の哲学」を、「5つの原則」として提唱しました。
レーモンド事務所の元所員である三沢浩氏の著書にこの5原則が紹介されております。
「次に述べる永久不変の諸原則は、美学的見地から、いつも私の作品を支配しているものである。自然は人工より美しい。単純さと軽快さは複雑なものよりも美しい。建物の広さにしても、材料にしても、節約は浪費よりも美しい結果を生む。」
アントニン・レーモンド著 私と日本建築 (SD選書)より
① SIMPLE(単純さ)
② HONEST(正直さ)
③ DIRECT(直截さ)
④ ECONOMICAL(経済性)
⑤ NATURAL(自然さ)
(三沢浩氏の著書にあった A・レーモンドの5原則
普遍的で崇高な哲学であることだと直感で分かるが、
単語の羅列だけだと抽象的過ぎて、具体性にどうなのかわからずにいた。
新発田教会のイベントでいただいた資料に、レーモンドの5原則は、
今日でもレーモンド事務所の社是として受け継がれています。と紹介されていた。
抽象的だった5原則が、より具体的にかみ砕かれているので、レーモンドの哲学を良く知ることができました。
これは非常に大きな収穫でございました。
三沢氏の書の5原則と、事務所の社是の5原則を比較すると、
三沢氏= HONEST (正直さ)
社是 = Democratic (民主的) という違いがあります。
正直さは、単純さと直截(ちょくせつ)さとも被ることだし、自然さとも被ってくる。
良い言葉だと思うけど、どう差がついてくるべきか悩ましかった。
社是では(正直さ)の代りに「民主的な建築」を5原則へともってきている。
どっちが良いとか正しいとかではなく、両方ともレーモンドが日頃大事にすべきと所員へ言い聞かせてきたものではないかと思う。
レーモンド事務所の社是=5原則は、すべての設計行為を行う者たちへ未来永劫と通用する普遍性を持っていると感じました。
特に、現代の工務店における住宅設計のスタイルは、木造住宅の原理をデザインに合理的に生かしたスタイルが中心になろうとしている。「木造スタンダード」と表現され、我々もその一派である。
こうした「スタンダード工務店」の設計ポリシーこそ、A・レーモンドの5原則に準拠すべきだと思っています。
オーガニックスタジオ新潟では、5原則を消化し、
我々の言葉として明文化しポリシーとしていきたいと考えます。
今後、5原則をそれぞれのテーマとして深堀りする作業を行いたい、
不定期でブログで紹介していこうと思っております。
(つづく)