北海道の常識⑥ 「全館暖房があたりまえ」 | オーガニックスタジオ新潟社長の奮闘記 │ おーがにっくな家ブログ

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北海道の常識⑥ 「全館暖房があたりまえ」

北海道はあまりにも寒いために、大地まで凍り付く。基礎工事を浅くすると霜柱で建物が打ちあがり傾いてしまう。だから札幌では地面より基礎を60cm深くしなければならない。
これを凍結深度という。 となるとベタ基礎よりも布基礎が対応しやすく一般的のようだ。

そして、配管の凍結防止という理由から、基礎断熱工法が全国でいち早く広まり、約半数が基礎断熱である。
旭川のようなものすごく寒いところは、少しでも暖房容積を減らしたいので床断熱が多いが、札幌を含む道央は基礎断熱が多い。

パワービルダーや大手ハウスメーカーで建てる人も多く、この層が一番断熱性能は良くないが、北海道ではQ値1.6は最低限の性能である。
窓からの冷え込みとコールドドラフトはクレームになるので、窓辺にパネルヒーターか、
基礎断熱であれば床下放熱器による床下暖房が普通に標準化されている。






量産住宅でもどこでも全館暖房を施工する。だから、競争原理が働き、びっくりするほど工事費が安い。新潟で100万円する工事費用は北海道なら70万円でできる。

北海道は日本一、暖房の設定温度が高い地域だと、かつて触れたことがある。
寒いというのはクレームになるから20kwくらいのでかいボイラーで、全館パネルヒーターというのが一般的だという。

しかし、断熱材が300㎜のレベルになると、暖房負荷も低下し、1台のエアコンでの全館暖房も可能になる。断熱に金をかけるか?暖房で金をかけるか?
まずは、断熱にかけたほうが賢いというのは間違いない。

新潟において、燃料単価は、ガスが灯油の倍になる。(今現在)
暖房負荷がより高い北海道のことだから、当然灯油と思いきや、
札幌で都市ガス引き込みの世帯は、ガスで暖房給湯をする家庭のほうが多いという。



冬の積雪と寒さから給湯器を守るために、FFボイラーを室内設置するのが常識だ。
灯油式だと、コロナの場合、給湯と暖房で2つ必要になるが、ガスの場合は1台でできる機種もある。 それが理由なのかと思ったら、あまり関係ないようだ。

北海道ガスは、自社でガス田を持ち、自給できていたからガス単価が安かったという経緯があるという。原発事故の前は、オール電化ブームで、電気温水器・蓄熱暖房機がシェアを奪っていったが、ふたたび震災後にガスに切り替わっている。

それにセントラル暖房が当たり前で、そうした世帯向けの料金設定が非常に安い。新潟の北陸ガスにも同様の仕組みがあるが、北ガスは3割近くも安い。
しばらくは灯油も高かったので、ほぼ同程度の燃料単価でガスを利用できていた。
「どっちでもほぼ一緒」という認識ができているようだ。
工務店もお客さんも好みで選んでいるようで、都市部はガスが人気で、郡部は灯油が人気なようだ。

灯油も消費量が多く、北海道は灯油料金が日本一安い。
新潟市だと、スタンドで店頭で買うよりも、10円以上宅配価格は高い。
配達料が価格に上乗せされたと考えてよい。
しかし、北海道では宅配価格の方が安いという。

北海道では、1回の宅配で200L給油し、月に2回の宅配が来る。
使う量が多いので競争原理が働いて単価が下がってくる。
また、店頭でちまちまポリタンクで売っているより手間がかからないからだろう。
宅配価格で 1Lが50円程度であると、石油連盟の方から伺った。安いなぁ。

北海道価格での相場を、
ガスが1㎥75円。灯油が1Lで50円とするならば、
現在の市況で 1MJあたり 灯油が1.35円でガスが1.63円。 ガスが120%ということになる。ひとまずは灯油が安いようだが、競っている。

北海道ガスが安かったのは、北海道にガス田があったからだ。
当初は50年くらいの埋蔵量があるという触れ込みであったが、枯渇していまい海外からの輸入になったという。今後はどのように価格が増加していくのか。
また、今は歴史的に安い原油価格がどれほど戻していくのか。
いずれも長期的には高くなっていくだろうから、省エネ意識は強まっていくだろう。