◎ 日本建築史上、最高の間。窮邃亭の九間 | オーガニックスタジオ新潟社長の奮闘記 │ おーがにっくな家ブログ

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日本建築史上、最高の間。窮邃亭の九間



私的に、修学院離宮の最大のみどころ。

それが「窮邃亭」(きゅうすいてい)。


神代雄一郎氏著の「間(ま)・日本建築の意匠 」という名著が鹿島出版会から出ておりますが、6年前ぐらいだろうか読んでかなり影響を受けた。

建築関係者で、さらには京都建築巡礼のご計画がある方には強くお勧め。

不朽の名著です。

ここにおいて 「九間」(ここのま)という三間真四角の空間の意味合いについて展開されている。


ちょうどいい広がり感というのが3x3間=9坪=18畳。

蹴鞠をするときや能舞台も九間であるし、「意匠的に優れた間というのは九間であるというのがきりがないほどある。」という。

同様な程よい広さの感覚は吉村順三氏もおっしゃっているわけで、とても気になるわけです。


日本の伝統的建築には、数ある九間。 

その中の最高傑作であるといわれております。それが窮邃亭の九間。




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実際に訪れることができて感動で泣きそうになる。

ここの間の雰囲気といったらただならぬものがある。


西と北の眺望のよい方位に窓がある。そのコーナーに5畳ほどの小上がりがある(上段)。程よい広さの九間(広間)のなかにある、ほどよい狭さの小間。

広がりと落ち着きの共存する間の組み合わせ。それを柱1本と落とし掛けで緩やかに分節する。その塩梅。

初めて見た時 以上の 現地で感じる間の絶妙さ。

そうなんです。ただ18畳敷きの広間では駄目だったんです。

そして欲しいがままの景色に寄り添う小上がりの配置のよさ。



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また、開口部の妙にも触れておきたい。

開口部の雨戸もつっかえ棒で押さえただけだが、逆に豊かな外部の緑がもっと見たくなる欲求を高める。いわゆる「ちらリズム効果」そして、光の重心を低くし、光が舐めるように床を照らす。

掃出しではない、ひじ掛け板の分だけ開口はあげられてあり、程よい囲まれ感もある。

完璧な開口部の計画。

ここまでになると「何者かが宿っているような霊性」が感じられるほどの雰囲気がある空間です。なぜそう感じられるのかを分解してひも解けば、雰囲気の構成要素が見えてくるわけです。

いわゆる「パターンランゲージ」素晴らしい空間には理由があるのです。

何から何まで完璧なのがこの九間なんですね。



現代の生活空間へココノマの応用:

住宅設計においても、このような 

ちょうどいい広さというものもあり、ちょうどいい狭さというのもある。

設計の経験上、キッチン部分は約5畳としまして、ダイニングリビングで18畳。(九間)その一部を居心地を変えた4.5前後の空間とする。(それは畳の小上がりでもいいし、書斎的アルコーブでもいい)

キッチン518畳=合計として23畳程度のLDK。計算づくで導かれるちょうどいい大きさ。現代住宅では、この大きさを一つの目安に考えてもよいのではないかと思う。という議論です。

「このリビングダイニングってココノマだね!」などと、

一時期、私らの中でちょっとした(ここのま)はプチブームでした。



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外観写真もお出しします。

外からも感じるただならぬ雰囲気です。

低くのびやかで、豊かな半外空間を従えたフォルム。

詫び寂を感じさせる 塗り土壁の表情と、杉の板戸。

宝形の屋根の品の良さ。 そして贅沢なほどの周囲の緑。 

友人のいしかわさんいわく「何かが宿っているのをビンビン感じます。」

おっしゃるように、ここまでの建物となると霊性すら感じずにはいられません。





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おまけながら、この地にはチャールズ皇太子と今は亡きダイアナ妃が訪れ、

池のほとりの東屋にて座り楽しんだとのこと。

月日は流れ、今も当然東屋は当時のまま、カルガモのつがいが戯れて あはれなり。





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池の見事さは、借景の映り込みが素晴らしいからです。


映り込みのために、深さがわずか50cmに設定されている。

自然な景色にも見えるが、もちろん手前は造園によるもので、

遠景の針葉樹は、借景の山林。それが境目なく一体の景観となり

圧倒的なスケール感になっている。  意図的な景観です。

すごいですね。 何も言うことが無いです。

宮内庁のガイド様もおしゃった、 「借景の修学院」とは 言いえています。


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外構計画と一体で建物を設計するという ポリシー。 

それがオーガニックスタジオ新潟のスタイルです。

もちろん 修学院とは比べ物になりませんけど。ね。