ワイルド系建築を好む某様と外壁仕上げについての打ち合わせ中、
お客様から「外壁に焼杉というのはどうでしょう?」と投げかけられた。
「そうですね! おもしろそうですね。 検討してみます。」
ということで 検討が始まった。
焼杉は過去に研究を軽くはしたが、実際に使ったことはない。
焼杉とは?
外壁で杉を用いる場合、無処理だと木の繊維はセルロースだから、腐朽菌が繁殖する。すなわち朽ちてゆく。それを遅くするために、表面を焼いて炭化させて菌が繁殖できなくするという方法。栄養が無ければ繁殖しないのだ。
乾燥した木よりも炭のほうが着火温度が高いので火災にも強くなるという。
なるほど おーがにっくな世界観に完全合致する。
園芸で使う 松杭は そういえば焼いてありますよね。
それは同じ理屈です。
まずは あの黒さはどれだけ続くのか?という疑問がわきます。
色々調べてみると、焼杉をつくりには2つの方法がある。
一つにはガスバーナーであぶる方法。
これは屋根がある作事場で作業ができるので、工務店でも用いている場合が多い。しかし、どうやらなかなか燃えにくいらしく、表面を軽く焦がす程度でしょう。
それを軽くブラシをかけて炭を落としてから張るようです。
どうやら雨が当たるところは数ヶ月でほとんど落ちてしまうようです。
竣工時には黒くてかっこいいなんていってるのが年経たずに素地に近い状態。経年変化というには早すぎる感じです。やるならば10年は最低限いじりたくはないですね。
かなりもたせるには、炭の層を厚くせねばならぬようです。
そうすると伝統的な方法で焼杉をつくるのがよいようです。
火柱が5mくらいまで登っていて驚き。
作業するには消防署に一応連絡しておかなければできませんね。
そして、炭がついたままの状態で張り上げる。
炭を落としてしまっては意味が無い。
藤森先生の提案で 信州大学の学生がチャレンジする記事 がおもしろい。
新聞紙ではうまくいかないらしい。
そういえば、仲間の「設計島」の三浦さんも「七ガ浜の家」 にて
焼き杉を使っていたことを思い出す。
「しだいにぽろぽろと炭は落ちていくんですが、今んとこ大丈夫です。」
三浦さん的には 評価は上々。
チャレンジするか? とぐぐぐぐっと思いましたが、火柱がネックです。
作ってなんぼであるが、新聞沙汰になっても困るのでギブアップ。
そこで 調べてみると製品として売っているんですね~。
でも 普通の杉の板の3倍程度の値段でした。
それなら 上質な 別の処理にしたほうがよさそう。
その 特異な意匠が欲しい時限定ということで 調査レポート終了です。