皆さん、こんばんは。
本日は昨年知人・友人だけに知らせましたスズメバチとの激闘のお話をアップさせて頂きます。
楽しんで頂ければ幸いです。
タイトル 「蜂退治」
夕方の事だ。
実家の庭の水場で豪快に顔を洗っていると。何やらデカイ羽音。
「む、殺気!!」
と、周囲を見渡せばスズメバチとアシナガバチが頭上でデュエットしてやがります。
どちらもスズメバチ科の恐ろしい昆虫。奴らは夕方になると巣作りのために活発に動き回るのです。
「退避」
家の中に隠れてハチ共の動向を探ると、どうやら蔵の方へ集まって飛行している模様。
おそるおそる探ってみると、見つけましたよ。ハチの巣。しかも豪勢に並行して二個同時製作中。
働き過ぎたぜハチ。人間でさえ働き方改革されているのに、昆虫社会、マジ黒社会。
いや驚いている場合じゃない。対処だ対処。
まずは人員増強。
「親父殿。ハチだハチ。野郎、オレたちの家に無断賃貸してやがる」
「何だと? 上等だ。生かして帰すな」
かくして、小野家の男たちと獰猛な肉食ハチとの闘争は火ぶたを切って落とすことになりました。
闘うには武器が必要だ。素手の闘争を喜ぶのは少年漫画の主人公だけ。確実に相手を仕留める闘いで武器を持たない方がどうかしている。
我々が選んだ『武器屋』はカインズホーム青梅インター店。軽トラのエンジンをふかせ、、駐車場に爆駐。
店内に駆け込み、協力無比な殺虫剤を物色。遠くから狙えるバズーカーみたいなヤツがベストだ。
田舎のホームセンターには実に多種多様な殺虫剤が揃っている。この時期は専門コーナーさえ設営されているのだ。
ゴキブリ、アリ、ダニ、クモ、カ、アブ、ムカデ……そしてスズメバチ。
「親父殿。どれにするよ?」
「これよ!」
そうして農業一筋五十年の男が手に取ったのは
プロ用 ハチ・アブ・バズーカジェット
フマキラー製
大容量八百ml
最大十二メートル
「たっぷりの容量に長距離射撃か。良い選択だぜ」
「ついてこいバカ息子。お会計だ」
「よしきた、ボケオヤジ」
セルフレジを通る父と息子。人材不足と機械の台頭を見せつけられ、少しヒヤリとする。
甘い缶珈琲を買って飲むとすぐに忘れてしまったが。
そんなことより、男たちはこれからの闘いに気を向けた。相手は殺人虫。正直怖いが、死闘を前に闘志が燃える。心の中ではファンファーレの嵐だ。
帰宅。
「防備を忘れるな」
「応よ」
風を通さぬ厚手の合羽を羽織り、帽子をかぶる。極力肌は晒さない。でも、顔面むき出し。賢くないね。マネしないで。業者を待たない現場はこんなものなのだ。
殺虫剤を片手にハチの営巣場所へ近づく。
蔵の軒下に作成中の巣が二つ見える。地面からの距離は約八メートル弱。看板に偽りが無ければ十分に射程範囲内だが、念には念を入れるべきだ。
脚立を立てて更に一メートル少し距離を縮める。
オフェンスはオレ。後方支援は親父殿だ。
カウント。3、2、1……ファイヤー!!
凄まじい勢いで噴射される殺虫剤の毒霧。直撃すると思ったそれは、何と、
「おいぃぃぃっ!? 風で流されているじゃねぇか!?」
ヤバイと思う暇もあればこそ。
働きバチどもが、「はぁぁんっ!? やんのかコラ!?」と、一斉に敵意を向けてきた。
「退避!!」
言うや否や父はダッシュ。死んでたまるかと、私も脚立から飛び降りて父を追う。
「喰らえ!!」
振りからず後方に向かい殺虫剤を噴霧。羽音がでかいよ。怖いよ。
緊急避難先として扉を開けていた事務所に飛び込み、網戸越しにハチの大軍を迎え撃つ。虫が地面にボトボト落ちていく音は余りに生々しくてやたらと罪悪感を掻き立てる。
攻勢が収まってから殺虫剤を携え、おそるおそると蔵に近づく。
少しばかり巣に薬が掛かっていたようで、ハチの死骸が転がっている。
今や日は落ちかけていた。
「親父殿、どうする?」
「バズーカーを撃ち尽くして様子見だ」
「了解」
巣に向けて残された薬を全て噴射してから、我々は片付けに入る。
合羽の中は汗でびっしょりだ。暑さによるものだけではない。確実に冷や汗も含まれている。
都心でデスクワークをしていると到底気づけないことだが、命懸けの戦線とは、日常の中、それも割と近くに横たわるものだと痛感する。
片付け作業の中には、ハチの死骸の処理も含まれる。
竹箒でそれらを集めているとき、何匹かが復活しそうになるので、踏み潰す。無慈悲に一気に。
こいつらは悪くないが、オレらだって悪くない。そう己に言い聞かせての行動だ。
虫とは言え、命の重みを痛感する休日の終わりとなった。
-終-
追伸
おいおい、フマキラーさんよ!!
殺虫剤の目立たないところに、「確実を期すなら3~4メートル付近から噴射してください」的なことを書くんじゃあないよ!! 看板詐欺じゃねぇかこんなの。危うく死にかけたわ!!
何より、怖いわ。三メートルも近づけるか!?