暖かい風の中、
少し歩いた。
まるで病人だなぁと、ふと思ったから。
数年前から、
別にわざとそうしたわけじゃないけど、
それまで一緒にやってきた人間を一人一人、
自分から遠ざけていって、
それが首尾よくいったようで、
ようやく今は一人。
僕が招いた、あるいは望んだ結果なのだろうから、
それはそれでいいとして。
年賀状も誕生日のメッセージも、
誰からも来なくなり、
少しほっとしていたんだけど、
こんなに首尾よく事が進んだことが、これまで一度もなくて、
少し不気味になって、鏡を見たら、
僕はまるで病人のようで。
慌てて外に出て、少し歩いた。
少しも楽しくなかったけど、
なにかに抗った感覚が気持ちよかったよ。
時には、敵も必要なんだよね、あくどきものよ。