思い出さない日がないなんて言えば嘘になる
考えないようにすればするほど、考えてしまい、胸が痛くなるような、もう2度と会えないからこそ、胸の奥がモゾモゾするような気持ちになる
今どこで何をしているのだろう、今、何を考えているのだろうだとか、私の事はもう頭の片隅にすら無いのだろうかとか

未練に近しいのかもしれないけれど、戻りたいとは思えなくて、ただ一目その姿を見たいと思ってしまう
あの人といた時間、人生で初めてのことが良くも悪くもたくさんあって、けど、どんだけ傷ついたことがあったとしても、やっぱり思い出は美化されるもので
無性に恋しくなってしまうもの

あの人の笑った顔だけは、嘘偽りのないものだったんじゃ無いかって
あの人のくれた言葉だとかその時々の口調だとか
私は疑わずに全てを信じていたよ
彼女はあいつを嘘つきだとか、虚言癖だとか、色々私に言い聞かせてきたけれど、私は、あの人が私の横に居る限り、見たものを信じていたよ
大好きだった

恨みとかそんなものはもう無いや
お金もそりゃ沢山消えたけれど、私がしたくてしたことに変わりはないし
返す気は絶対にあるからと彼女にも話しているならば、まあ好きにしたらいいと思う
馬鹿な女だと思われてもいい
私が好きで付き合って、こんなにもある種夢中にさせられたのだから、もう今更何も言わない

あの人の横に、また戻れるのならば、だなんて考えていけないのだろうけど
けどきっともう仮に連絡ができたとしても、戻れる事はないのだと思う
それはきっとあちらも思っている事だと思うし、そういう運命、そういう星の元に私たちは出会ってしまったのかもしれない

付き合う前のこの何年って、何でかわからないけれど、不意な再会が沢山起きた
何で?って言う本当に不意に
けれど、それは結局たまたまであって、もしかしたら運命だったのかも知らないけれど、運命の人が2人いるのだとすれば、あの人は1人目だったのかもね
人を愛する事、そして愛を失う事

それはまさしくあの人に言える事なのだと思う
私はきっと、愛を学んだんだろうね
自分を犠牲にしてても自分がボロボロになっても、この人の為にって、鬱になった時はあの人の方が遥かに苦しく、辛い日々だったのかもしれない
けれど、同じ様に苦しかった
毎晩うなされて、悪夢に苛まれ、死にたいと言う

愛する人のそんな姿は、いたたまれなかった
朝も寝て、仕事から帰っても寝て、夜は起き始めるが、私は翌日も仕事で、寝ているあの人の姿を沢山見てきた
今ももしかしたら、寝ている姿の方がよく覚えているかもしれない
けれど、それでも、愛してたよ
大好きと言う言葉では表せない程に、

あの人が今元気になって、目が醒めたのか、本当に守るべきものが何なのか分かった今、それを否定してまで私は横にいようとは思えなかった
虚無ではある、あの時間なんだったのだろうとか、ふと思う時もある
けど、あれは私にとっても大事な時間だったのだろう

ずっとフラフラして、誰かをちゃんと見たことなんて、きっと無かったから
だから、もう過去の様な事はしないと決めた
ある種気づかせてくれたのだろう
そして、ここからが私の成長するべき地点なのかな、とも思う

あんなに、何だか自分に似た様な人は初めてだったし、えげつない程に喧嘩を沢山した時もあったけれど、あんなに他人にむき出しの感情を出したのも初めてだったのかもしれない、と
色んな意味で私もあの人に感謝をしている
ありがとうとだけ伝えたい