『ごめんね、お兄ちゃん。りんこのこと、あんまり怒らないであげて?きっと、りんこもね?本当はお兄ちゃんができて、嬉しいはずだから……』
そうかな?と頭を掻いて首を傾げる主人公。
みやびはブランコを揺らしながら、柔らかく笑んで答える。
『うん、りんこ照れ屋さんだから』
みやびは束の間、その可愛らしい紅唇を噤み、やがて上目遣いで主人公を見上げると、
『あのね、お兄ちゃん。わたしはお兄ちゃんと会えて、嬉しかったよ。きっと、りんこだって同じだと思う。わかるんだ、わたしたちは、双子だから』
お兄ちゃんと会えて嬉しかった、か。
面映ゆい気持ちになった主人公は、ブランコを降りたみやびから、さらなる追撃を食らう。
『……お兄ちゃん、大好き』
アップで映し出されるみやびの顔と、その周りを飛び交う大量のハートマーク。
「みやびちゃんの思わせぶりな告白キター!!」
現実の妹は大はしゃぎだ。
「あっ、これは別にみやびちゃんルート行ったワケじゃなくてぇ、全ルート強制のイベントだから。あーもー、みやびちゃんカーワーイーイー!」
うるせーな、ちょっと声のトーン落とせ。
お袋か親父がお前の奇声に気づいて部屋に入ってきたらどうするつもりだ?
「大丈夫だって。早く先進めて?」
お前の無根拠な楽観ほど当てにならないものはねえよ。
俺は溜息を吐き、親父やお袋が夫婦団欒の時を過ごしていることを祈りつつマウスを操作する。
『あのね、お兄ちゃん。今度の日曜日はヒマ?わたし、買い物に出かけたいんだけど、ひとりで街を歩くのは怖くて……』
りんこを連れていったらどうだ、と提案する主人公。
みやびはゆっくりとかぶりを振って、
『りんこちゃんは、用事があるみたい。お兄ちゃんが一緒に来てくれたら、みやび、嬉しいな』
イエス。ここでノーを選ぶヤツは頭がどうかしてる。
『ありがとう、お兄ちゃん』
主人公とみやびは暮れなずむ空を見上げながら、朱色に染め抜かれた帰り道を、手を繋いで歩いて行く……。