サヨナライツカ
By Hitonari Tsuji

「人間は死ぬとき、
愛されたことを思い出すヒトと
愛したことを思い出すヒトにわかれる。」


1975年、灼熱のバンコク。お金、美貌、愛に不自由なく暮らし、ただ、「愛されること」を求めて生きてきた沓子が、ある日、夢に向かって真っすぐに生きるエリートビジネスマンの豊と出逢う。たちまち魅かれ合い、熱帯の夜に溺れていく二人。しかし、豊には日本に光子という婚約者がおり、結婚を目前に控えていた。愛することこそが本当の愛だと気づいた沓子は叶わぬ恋と分かっていながら、それでも、豊を愛し続けると決める。そして二人は25年後のバンコクで運命の再会を果たすのだが、、。

結婚を控えた豊が赴任先のタイで知り合った沓子との愛に溺れていく、ほんの数ヶ月の切ない、だけど永遠のラブストーリー。前半は出逢った当初の若かりし頃の二人が描かれ、後半は25年〜30年後の二人が描かれている。

まさか自分がこんなにも感情移入するとは読了後の今も驚きが隠せません。昔から、こよなく愛する「冷静と情熱のあいだ」を執筆した作家さんだからか、辻さんの国を跨ぐ儚く切ない大人のラブストーリーが身に染みます。辻さんもこのような恋愛をされたのかは分かりませんが、ご自身も繊細で情愛深い方なのではないかと思います。

賛否両論ある作品ですが、これまで生きてきて言えることは、この世の中には理屈じゃない運命があることも確かだということ。その運命に出逢えるのか、出逢えないのか、それは人それぞれであり、生きてみないと分かりません。愛とは何か、結婚とは何か、人生とは何か、深く考えさせられると共に愛の形は人それぞれなのだとつくづく感じます。

終盤の手紙にはグッとくるものがありました。言葉では上手く言い表せない切ない最後、少しでも前向きに終わったハッピーエンディングだと捉えたい。映画だったら泣くのかな?切なく辛いけれども腑に落ちるような、そんな終わり方でした。

「死ぬ間際、君は愛したことを思い出す?それとも愛されたことを思い出す?」

私はきっと愛したことを思い出す。

皆さんはどちらを思い出しますか?


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当時、辻さんの奥さんだった中山美穂さんが主演♡




   



そして辻さんと言えばの、、

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東京、ミラノ、フィレンツェ、、、

ひとつの愛にさまよう二人の十年の物語。


まだの方は是非気づき
秋にぴったりの物語です!