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Diffusion of Innovations(普及学)の理論

普及学 (英: Diffusion of innovations) は、新しいアイデアや技術が社会になぜ普及したりしなかったりするかや、どのように普及するかを説明しようとする理論である。

社会学者のエヴェリット・ロジャースが1962年の書籍『Diffusion of Innovation』で提唱し、大きな反響を呼んだ。彼は、普及とはイノベーションが社会システムのメンバ間に時間をかけて特定のチャネルを介して伝達されるプロセスであると述べた。イノベーション理論の拡散の起源は様々であると同時に、複数の分野にまたがった研究となっている。
wikipediaより抜粋)

普及学のエッセンスとして、1)Innovationに必要な要素と、2)Innovation足りうるための消費者モデルの2つが存在する。見てみよう。


イノベーター(Innovators:革新者)
冒険的で、新しいものを進んで採用する人。イノベーター層の購買行動においては、商品の目新しさ、商品の革新性という点が重視される為、商品のベネフィットはほとんど無視される。市場全体の2.5%

アーリーアダプター(Early Adopters:初期採用者)
社会と価値観を共有しているものの、流行には敏感で、情報収集を自ら行い、判断する人。商品のベネフィットを理解したうえで購入に踏み切る。他の消費層への影響力が大きく、オピニオンリーダーとも呼ばれ、商品の普及の大きな鍵を握るとされる。新製品や新サービスが提供するベネフィットが必ずしも万人に受け入れられるとは限らないため、市場に広く浸透するかどうかはアーリーアダプターの判断や反応によるところが大きい。市場全体の13.5%。

アーリーマジョリティ(Early Majority:前期追随者)
新しい様式の採用には比較的慎重派だが平均より早くに新しいものを取り入れる。アーリーアダプター(オピニオンリーダー)からの影響を強く受け、新製品や新サービスが市場へ浸透する為の媒介層であることから、ブリッジピープルとも呼ばれる。市場全体の34.0%

レイトマジョリティ(Late Majority:後期追随者)
新しい様式の採用には比較的懐疑的な人。周囲の大多数が使用しているという確証が得られてから同じ選択をする。新市場における採用者数が過半数を越えた辺りから導入を始める為、フォロワーズとも呼ばれる。市場全体の34.0%

ラガード(Laggards:遅滞者
最も保守的な人。流行や世の中の動きに関心が薄い。イノベーションが伝統化するまで採用しない。伝統主義者とも訳される。最後までなかなかイノベーションを受け入れない層で、中には最後まで不採用を貫く者もいる。市場全体の16.0%。
ソーシャルメディアマーケティングラボ 「イノベーター理論」とは?~今さら人に聞けないマーケティング用語をおさらい!より抜粋)


アーリーマジョリティとレイトマジョリティだけでも68%を占める事からこの層を自社顧客として取り込まないと自社の商品が市場に普及したとは言えない。また、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間には超えられない壁「キャズム」が存在していると提唱者は述べており、この部分を超える事がイノベーションを起こす必要条件であるようだ。

マーケティング視点で見た時にはまず、どのように整理すべき個人的に考えてみた。

1)市場規模の把握
まず商材の種類を整理するべきだ。子供用製品、車、スマートフォン、化粧品、日用品など様々な商品があり、それぞれの世帯・個人普及率や市場規模にはばらつきがある。1兆円産業と1000億円産業では10倍の開きがある。

市場規模を把握した上で、ある業界・業種で割合としてどの程度のパーセンテージを抑えれば、イノベーションを起こしたと判断できるのか、どの部分が「キャズム」として明確な溝が存在しているのかを判断しないと、マーケティング戦略を誤る可能性が高い。

2)ターゲットの把握
自社商品を使用している、もしくはこれから使用する将来顧客に対し、セグメンテーション(消費者の階層分け)をどのように行うかも重要になってくる。
もしイノベーターをアーリーアダプターと勘違いした場合にはどうなるだろう。

上記にも記載がある通り、イノベーターは大多数の社会的価値と適合するかどうかわからない面が大きい。そう考えた場合、イノベーターの大多数に商品が良い評価を受けたとしても、アーリーアダプターに受けるとは限らない。市場普及率を上げるためには、アーリーアダプターを参考にするべきなので、フィードバックをもらう相手を間違えてしまうかもしれない。

そもそもイノベーターに良い評価をもらわないと、アーリーアダプターにも商品が渡らないと思うので、その部分は別で施策が必要になってくると思う。
各階層の人たちをどのように分けるべきなのかを十分に検討し、基準を明確にしないと誤ったターゲットに誤ったメッセージを送ってしまうことになる。

3)メッセージの種類
どのようなメッセージがどの層に刺さるのかも当然変わってくると思われる。リターゲティングを駆使して、属性によって発信するメッセージを変える必要が出てくるかもしれないし、自社顧客毎にプロモーション・クーポンなどの内容を変更する必要が出てくるかもしれない。

例えば、スキンケア化粧品を見た時に40代に対するメッセージと20代に刺さるメッセージは変わらなければおかしい。商品のターゲットが異なる場合は問題ないが、ターゲットを明確に区切っていない商品などについては、それぞれの消費者の使用シーンや事情をどれだけ把握し、課題(不満やモヤモヤ)に対して解決策(満足やワクワク)を提供できるかが鍵となる。

メッセージの発信の仕方にも今後企業は注意をしなければならないな、と感じる記事であった。

モバイル端末(スマートフォン含む)の使用方法

小売店などのRetail Shopで購入する際、消費者心理の階層毎のモバイル端末使用方法が図として提示されていたので、抜粋。(参照元は下記URL)

▼参照元
http://davidrogers.biz/blog/infographic-understanding-the-5-types-of-mobile-assisted-shoppers/





よくニュースでもウェブ店舗vsリアル店舗のような構図を見ることが多いし、それ自体間違いではないのだけど、実際にウェブとリアル店舗は親和性を高く保つ事ができるのではないかと思う。

上記の数値を見ると、60%の人が店舗に行った先でモバイルでウェブ上の商品評価を参照し、購入に踏み切っている人たちがいるし、36%の人たちは50$以下の商品購入の時は常にウェブ上の情報を参照している事がわかる。

また、モバイル利用者の属性にも5種類あると記載されている。

また、特筆すべきは,

48%の人たちがオンライン上でリアル店舗と同額もしくは、それよりも安い商品が販売しているのにもかかわらず、店舗で特典を受けられる会員(特典内容は不明)の場合は店舗での購入を優先するという点だ。


それに続き、55%の人たちがモバイルで上記特典を受けるために会員となると回答している。

これからわかることは、店舗誘導数を増やし、売上を増やし、最終的に店舗にファンを根付かせる施策としてもモバイル端末は非常に効果的であることがわかる。

話は変わるが、一方で現在はZoZotownがリリースしたアプリ「WEAR」の影響もあり、アパレルについては、小売店がショールーム化し、購入がオンラインに集中するのではないかとの推測もされている。

現在一部の小売店を除いて、このアプリの使用をテナント内で禁じる動きが主流となっているが、消費者の事を考えた場合、その施策を行う事自体が消費者にとってテナント自体を使いづらくすることに他ならない。先行して上手にZoZotownと連携して成果報酬型の仕組みを取り入れているテナントの方が消費者にとって使いやすいとなってしまう。

同じようにバーコードをスキャンして価格比較ができるようなAmazon用のアプリも存在している。仮にこのような自体が他業界も含めて、多数派を占めてきた時、本当に起きるかわからない目の前の売上減よりも現在のテナントに来ている全消費者のLTVをきちんと考慮した上での施策が重要だと思う。

Funnel Marketing

情報獲得のツールが多様化するに伴い、消費者心理のレベルによって、活用すべきメディア・ツールが変わってきている。

そんな事言われても当たり前、と思われるかもしれないが、きちんと何を目的として、どの層(顧客・見込顧客・新規顧客)に対して、どのようなツールを使ってアプローチするのかはきちんとした議論と理詰めが必要だと思う。

国にもよるが、東南アジア(シンガポール・インドネシア)ではスマートフォンの普及率が非常に高く、シンガポールでは対人口比147%と一人あたり1台以上保有している計算となる(ネイティブ・海外からの移住者どちらの方が多いかは不明)。

少し古いが、下記Funnel Marketingの理論は2011年にColombia Business Schoolで教鞭を取り、自身でもConsultantとして活躍するDavid Rogers氏によって提唱された理論である。
大きな消費者心理は変わってはいないが、各ステージによって利用すべきメディアが異なる点が特徴だ。最後のAdvocacyが新しく加わったものだ。

■The image of Funnel Marketing


1)Awareness(認知)
2)Consideration(検討)
3)Preference(好意)
4)Action(行動・購入)
5)Loyalty(忠誠)
6)Advocacy(支持・擁護)

認知手段~忠誠までの広告手法も大きく変化しているが、FacebookやTwitterで共有してもらう(Advocacy)を得るためにはどのような手段を取るべきだろうか。

個人的に考えたところ、

a)顧客との接点の場を作る
まずここを作らないと話にならない。

これは自社サイト(コカ・コーラパーク)のようなものだったり、外部サイト(Amazonのレビューや価格コム)でも構わないと思うが、きちんとユーザーとの接点を持ち、Interactiveなコミュニケーションを取れる事が大事だと思う。そうしない限り、ブランドからの一方的な発信のみが横行し、消費者の共感を得る事が難しいと思う。
人と人とが関係性を深めるために繰り返し話をするのと同じで、ブランド-顧客間も同じではないだろうか。

b)消費者を巻き込む企画を作り、ブランドイメージを構築する
極端な話だが、消費者が購入するだけでなく、例えばブランドロゴ、広告クリエイティブ、販売計画などマーケテイングのあらゆる部分を決定できるとしたらどうなるだろう。

少なくとも広告クリエイティブなどはIphone appのvineなどで公募しているケースもあるし、今までも自社サイトで募集をかけている企業はあった。

自分たちが本当に良いと思ったものをブランドに提供し、何かしらのメディアを通じてそれを見る事となった時に、消費者はどのような感覚を得るだろう。おそらく彼らは自分たちが少しでも関わったものが形となって嬉しいと感じるのではないか。

「これは俺・私が関わったやつなんだぜ?」とシェアしたい気持ちが出てくる。

商品設計は製造自体に専門的な要素が多分に含まれるし、消費財の場合、成分の問題もあるため、敷居が非常に高くなってしまうが、ブランドを構築する周囲の要素であれば、消費者が参加できる余地はたくさんあると思う。