22歳から5年間、お世話になった看板屋は、従業員が20人ほど、専属の応援スタッフを
入れると30人弱の人がいた。

文字描き、絵描き、大工、表具、ペンキ塗り、現場取り付け、あと、営業、事務関係

当時、他の看板屋を知らないあたしは、会社の規模について、考える事もなかったが、
今思えば、親方と数名のスタッフで動いている看板屋が多い中、かなり、大きい会社
だった。と、言うより、猛スピードで成長している会社だった。

そこで、あたしは、文字描き、としての基礎を学んだ。
そして、同じ道を選び、歩んできた職人さん達の、頑固で、一途で、それでいて
あたたかい、気持ちにふれ、毎日、楽しく、仕事していた。

大きな、懸垂幕を数人で描く。

絵を描く人、一番メインの大きな文字を描く人、少し小さい説明的な文字を描く人
それぞれが、個性をもって、その得意、不得意を認めあってた。

職人気質で、仲のあまりよくない人もいたけど、いざ仕事となると、それぞれが
完璧に、自分の役目をはたしていた。

毎日、筆洗いばかりしていた、あたしも、徐々に、いろんなものを、描かせてもらえる
ようになっていった。