11年、がたった。
僕=薄男(うすお)と、奥さん=妻子(つまこ)が付き合ってからの年数のことだ。
2004年秋、僕らは大学1年生だった。
僕は18歳、妻子は19歳。ずいぶん遠い昔のことのようだ。
あれからもう、11年がたった。
------------------
長く付き合っているカップルにありがちだけど、僕たちはいつからか、性交渉をあまりしないようになっていた。
お互い、なんとなく気にしていたと思う。けど、お互い、何も言い出せなかった。
照れか、恥ずかしさか、気まずさか、引け目か。理由はわからないけれど、なんとなく。
それでも、別れることはせず、それがどんなことか、その意味を考えることすらせず、
数年間性交渉をしない期間があって、そのまま、僕らは結婚し、同居し始めた。
そして結婚しても、1年以上、性交渉はなかった。
奇異にうつるかもしれない。
でも僕らにとっては、とても自然なことだった。その不自然さに、気付かないぐらい。
------------------
結婚2年目の昨年、「子どもがほしい」という気持ちがふつふつと芽生えてきた。
知人の多くに子どもができたことも理由にあったと思う。
僕・薄男は、転勤の多い職場に勤めているが、そのサイクルがある程度落ち着いたこと、妻子が30歳を目前に控えていたことなども重なった。
でもでも、当たり前だけど、性交渉をしなければ、原則、子どもはできない。
スイングしなければ、ホームランはうまれない。
ある日突然、ベッドの上で「おぎゃー」という声が聞こえて、
「あらまあ、かわいいわねえ、ようやく運ばれてきたのね」
なんていうやりとりができたらすばらしいんだけど、どうも世の中はそんなにうまくできてないみたいだ。
なんにせよ、性交渉をしない理由の一つには、「セックス」という言葉を発しづらい、というのがあった。
数年間していないんだから、突然誘うなんて、そんなの難しいんですよ。
「セックスしようか」なんて、顔から火が出るほど恥ずかしくて、言えたもんじゃない。
「エッチしてみる?」もダメだ。アウト。大学生じゃないんだし。
でもでもでも、本当に子どもがほしいと思った。
だから僕は、妻子にこう告げた。
「おちんちんごっこをしよう」
文字にすると、とてつもなく卑猥である。
ギョッとするレベルだ。さかなクンなら、「ギョギョギョ」と言ってこのブログをそっと閉じるだろう。
でも、その時点ですでに10年間をともにした相手だ。
セックスより、エッチより、性交渉より性行為より、「おちんちんごっこ」という言葉が
――少なくとも僕にとっては、ということだけど――口から発しやすかったのだ。
------------------
そうして僕らは、実に3年ぶりの性交渉をした。
慣れない手つきで、見慣れた体を重ね合わせた。
それが昨年、2014年の秋ごろの話だ。
それから1年以上、少しずつ、本当に少しずつ、子どもをつくるための努力をしてきた。
「おちんちんごっこ」も、少しはこなれてきた。
でもでもでもでも、2015年10月11日午前0時現在、妊娠は確認されていない。
僕、薄男(うすお)は29歳、妻子は先日、30歳になった。
2人のいままでと、そしてこれからを、ちょっとずつ、書きつづることにする。
不妊に悩む誰かのために。あるいは、僕たち2人のために。
