9月18日から20日まで、北朝鮮・平壌において、大韓民国と北朝鮮との南北首脳会談が行われておりました。

 

昨年(2017年)には大陸間弾道ミサイルが飛ぶだの、戦争が起きるかもしれないだのと、大変な緊張状態だったことを思えば、まさしく隔世の感があるといえます。

 

そして、この1年で日本人の気持ち、印象として、北朝鮮のイメージが大きく変化してきたのではないでしょうか。

1年前はならず者国家。

現在は・・・どうでしょう。

少なくとも独裁国家のイメージは残しながらも、明るくてよく喋るようになったなぁ、あなたもずいぶん大人になったわね、というような印象に変わってきたように思います。

 

どうしてこんなに変わってきたのか・・・

私は、彼の国の指導者はいろいろ考えているうちに、新しい社会主義の形に気がついてしまったように思うのです。

 

元来、社会主義とは貧富の差をなくすこと=平等であることが求められるわけです。

給料は平等に分配されるのだから、働けば働いた分だけ高い給料が得られるわけでなく、働かなくても給料が変わりません。そんなことですから生産性も上がらないのであって、結局のところ、だいたいは出来の良くないモノを生産し、販売してしまいましたね。

思い出していただくとわかるのですけれど、社会主義国家の製品といえば、高級なモノなどありませんでした。

たとえば東ドイツの車、トラバント。たとえばユーゴスラビアの車、ザスタバ・ユーゴ。

なんじゃこりゃ?な車でした。

当然、それでは国際競争には勝てませんね。

 

ここから先は、私の、「きっとこうなんじゃないの」的な、全くの想像ですけどね・・・。

 

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そこで、彼の国の指導者さんは考えました。

どうして我が国は経済発展できていないのだろうか、と。

そして、ここは中国を参考にしてみよう、と。

 

中国は現在、世界第2位の経済大国ですね。

政治体制は社会主義でありながら、経済は市場経済であって、実際には貧富の差があったりするという、社会主義の根幹を覆す、いわば歪(いびつ)な体制ですね。

 

しかし、ここで、そうだ!と。

社会主義でも儲けちゃって良いんだな、と。

国も一つの企業みたいなもんだな、と。

まあ、一つの企業というよりは企業の集合体だな、と。

国が会社だとすれば、自分は社長だな、と。

このようにして、国家=グループ企業だということに気がついて・・・

 

そうして、社会主義的経済管理体制、みたいな考えに行き着いた、と。

 

今までは軍事力(=力による支配)が正しいと思ってきたけれど、どうも世界の皆さんからは野蛮な国とレッテルを貼られているようだった。

なぜそう思われているのかがやっとわかったよ。国を強くするのは経済を強化して経済大国なることなのだ。経済力を進めよう、と。

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まあ、そんなことで、北朝鮮という地域は朝鮮民主主義人民共和国として一歩前進したようには思いますね。

 

ただし、融和ムードの中でつい忘れそうになってはいないでしょうか。

1つは、彼の国には多くの貧困層が存在しているはずであるということ。

かつて報道されていたことがあるコッチェビをはじめ、そこに存在するはずである、現在の報道に出てきていない現実に変化があるのかを忘れることなく注視する必要があるでしょう。

新社会主義的な体制ができるとして、経済の底上げは果たして可能なのだろうか?

そして、貧困層の救済ということでは世界規模の問題でもありますからUN、UNICEFも含めて、腰を据えて考えないといけない問題でしょうね。

そして、もう1つは言わずもがなの、拉致の問題ですね。

未だ解決できずにいる大問題の解決に向けて、彼の国は本腰を入れて取り組むのでしょうか。そして日本国はその解決に向けてどのカードを切り、どうプレゼンテーションしていくのでしょうか。

私はいろんな意味で体制を刷新しなければ全く進展しないと思っていますけどね。

 

そして何よりも、過去に多くの命が奪われてしまった(であろう)ことは忘れてはなりませんね。

命だけは取り返しようがありません。

これから平和になることを期待しつつ、その平和はたくさんの命の犠牲があって成り立っているのだということを、彼の国の人々のみならず世界中がくれぐれも重く受け止めていかなければならないと思います。

 

融和ムード、平和ムードに惑わされることなく、今後も目を逸らさずに注目してまいりたいものでありますね。

 

そして、繰り返しますが、先に新社会主義と言いましたが、日本ではバブル崩壊からデフレスパイラル、さらに失われた10年、20年、30年と言われている間に、世界全体においてもリーマンショック以降、現在に至るまで、資本主義経済、市場経済主義から社会資本主義という言葉も使われるようになり、資本主義と社会主義との緩やかな融合が進んでいるようにも思えます。

 

いろいろな側面から観察をしながら、未来の世界に何を引き継いていくのかを見極められるようになれればと考えております。