奇跡に感謝しながら書くブログ -21ページ目

奇跡に感謝しながら書くブログ

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  • Ⅲ 

    お店で待っていたのは女性の二人組だった。
    市川さんが手を上げると
    女性が嬉しそうに近づいてきて
    僕を頭からつま先まで見たかと思うと
    「本当だ。すごい。ピッタリ。」と言った。

    首をかしげていると
    「まぁ、いいから座って、座って。」と
    促されて椅子に座ると
    目の前には、恥ずかしげに下を見ている女性がいた。

    なんだか、僕みたいだな。

    その飲み会は市川さんとテンション高い女性
    (えっちゃんと呼んでしか言わなかったので
     苗字も名前も最後まで分からなかった。
     途中でえっちゃんさんと言うとやたら笑っていた。)と
    僕の目の前に座った女性
    (星野美雪と言い、えっちゃんさんから
     美雪ちゃんと呼びなと言われ、恥ずかしく
     美雪ちゃんさんと言うと、またえっちゃんさんは笑っていた)
    と僕の4人で
    どうも僕と美雪ちゃんさんをくっつけるのが目的だった。

    それは
    「ほら、美雪のグラスが空いているよ。」
    「美雪に聞きたいことなんかないの?」等
    散々おせっかいをされたので分かることだったけど
    なぜ、僕が選ばれたか謎だった。

    なぜなら美雪ちゃんさんは男なれなんか全然してなくて
    でも、冷静に見てもすごく可愛らしくて
    それはアニメ的や漫画的なものではなく
    一般的な視点から見ても、きっと、そうで。

    だから、僕はちらちら盗み見るみたいに見るしか出来なくて。

    「ねぇ、美雪。」
    飲み会も結構時間が経った頃、えっちゃんさんが
    ちょっと違ったトーンで声を出した。

    「何ですか?」
    「美雪が言っていたタイプじゃないの。杉原君は。」
    「え?」
    美雪ちゃんさんの顔が今までよりもいっそう赤くなって、
    そして、、ゆっくりうなずいた。

    心臓が大きく揺れた。


  • 「杉原くーん。」
    会社の廊下。
    聞きなれない声に振り返ってみると
    別の課でありながら、僕が知っている位の有名人、
    市川さんだった。

    「はい。何か?」
    「そんなにおびえたような目で見ないでよ。
     何か悪いことしてんの?」
    「いや。してないですけど。すいません。」
    「すぐ謝らない。まぁ良いや。今夜時間ある?」

    自慢にもならないが僕が会社が終わった後に
    用があることは皆無と言って良い。
    会社の行事以外の記憶がない。
    新卒の頃は同期と飲みに行っていたりしたが
    いつの間にか声が掛からなくなった。

    「え?ちょっと、、」
    「OK。大丈夫だね。19時に迎えに行くので宜しくね。」
    「は、はい。」

    19時を5分過ぎた頃に市川さんはやってきた。
    席でドキドキしながら待っていた。
    からかわれているのかと。
    それにしては、あっさりした仕掛けと思いながら。

    「じゃあ、行こう。」
    市川さんは完全に自分のペースだった。
    時折後ろにいる僕を確認しながら
    携帯でメールを打ったり、電話をしていた。

    「次、降りるから。」
    ふいに市川さんに言われて我に返った。
    そもそもどこに、そして何をするのか?
    分からないことだらけで、頭がショートしそうだった。

    駅を降りて歩き続ける市川さんに向かって
    勇気を振り絞り話しかけた。
    「すいません。どこに、、そして何を、、」
    「え?あ、大丈夫。悪いようにはしないから。」
    、、、何の答えにもなっていない。

    「あ、ここだ。」
    そんな僕の感情など関係なしに
    市川さんが声を出した。
    見るとチェーンの居酒屋ではなく
    しゃれた感じの居酒屋だった。

    心臓が大きく鳴ったのが聞こえた


    「ごめん。その日はちょっと、、、」
    声がだんだん小さくなり、電話は切れた。
    携帯の画面を見つめる。
    通話中の画面が消え、待ち受け画面に変わる。
    どこかの国の夜空。
    やけに光っている一番星が気に入って待ち受けにした。

    イベントがあればつるんでいた三人組の一人
    カズキは会社の人と旅行。
    そして今電話を切ったカツヒコは、、謎だ。
    あの感じだとコンパとか飲み会とか
    女の子がいるのは間違いない感じだ。

    うー
    別に羨ましくなんかない。
    去年のクリスマスだってゲームで負けて
    罰ゲームで半そで短パンでコンビニまで行って
    お酒を買うという情けない想い出しかない。
    それにしてもそれを遠目から見ていた二人は
    とても嬉しそうだったな。
    今年は逆の立場で見たかったな。

    予定した予定がなくなると
    こんなにさびしくなるものか。
    北風がさっきより冷たく感じるのは気のせいか。

    さぁ、どうしようか。
    とりあえず家に帰って考えよう。

    家のすぐ近くのコンビニによって
    雑誌と飲み物と明日の朝食を買う。
    レジに向かうと音楽が聞こえた。
    なんて名前だっけ?
    昔から良く聞いてやつだ。

    歌詞を耳に記憶して
    家に帰ってすぐPCを開いて打ち込む。

    、、、「星に願いを」だった。

    日本語の詞もあったので見てみる。


    輝く星に心の夢を
    祈ればいつか叶うでしょう
    きらきら星は不思議な力
    あなたの夢を満たすでしょう

    星に祈れば寂しい日々を
    光り照らしてくれるでしょう


    しばらく画面に釘付けになった。

    何やってんだ。
    我に返り、買ってきた雑誌に手を伸ばす。

    ふと携帯が目に入った。
    待ち受けには一番星が光り輝いている。

    星に祈れば、、
    気付いたら口にしていた。

    携帯を見ながら集中して
    「クリスマスを素敵な人と過ごせるように」
    と祈った。

    携帯を閉じた。

    馬鹿らしい、素敵な人って何だよ。
    クリスマスは一人でまだクリアしていない
    ゲームをやる事に決定!

    続く