虹田は海辺の広い砂浜で、
子供たちとサッカーをしていた。
パスやドリブルを交えていたところ、突如、
虹田は何かの欲求にかられたように誰もいない遠くへ、
ボールをただ大きく蹴り出してしまった。

虹田は、子供たちに非難され、
自ら遠くのボールを取りにいくはめに。
歩きながら。虹田は歩きながら回想していた。
つい去年の戦闘を。

波打ち際に何か光るものが見えた。
虹田はその光る何かを確かめに寄った。
ボールのすぐ近くまで来ている。
海。波打ち際。それはネックレスだった。

うーん、これはたぶん...
中尉のネックレスじゃないかな...

虹田はすぐに気が付いた。
島の戦争で戦死した、
マチルダ中尉そっくりさんの守備隊責任者である、中尉の、
身につけていたネックレスが、
海を渡って流れ着いていたようだ。
偶然、虹田はそれを見つけてしまった。
すさまじい偶然だ。
そう、その通り。
去年の戦争はすさまじい偶然の連続によって勝ったのだ。

虹田はネックレスを拾い上げた。
手に持ってまじまじと見つめてみる。

中尉...

子供たちが虹田に催促の声を上げていた。
その声にやっと我に返った彼は、
ネックレスをポケットに入れてボールのもとへ。
虹田は子供たちに向かって、
またも大きくボールを蹴った。