梅崎「シュバ~、シュバシュバシュバ~♪」

日が暮れた。夜である。

梅崎「うなぁ~るエン~ジィンン~♪」

夜の雑踏に、
ママチャリを駆る梅崎の鼻歌が響いている。

梅崎「科学ぅ~のニィ~ンジャ~♪」

今度の歌はアニソンだ。科学忍者隊ガッチャマン。

梅崎「た~お~す~ぞ、ギャラクタァァ~♪」

この男、ノリノリである。

梅崎「世界のアクゥ~マァ~♪」

ママチャリはふらふらと倒れそうで倒れない。
歩くのと大差ないスピード。のろい。

梅崎「飛~ぶ~ぞぉ~にぃ~んぽう~竜巻ファイタァ~♪」

竜巻ファイターのターの部分で、
梅崎の声が裏返った。

と、その直後、
梅崎はママチャリを止めた。
彼の目の前には、骨董品屋のショーウィンドーがある。

ショーウィンドーには、
大きめの金剛力士像が展示されていた。
梅崎は、しばらくその金剛力士像を見つめた。

梅崎「ん? オヤジからの連絡か?」

金剛力士像の目がやや厳しくなった。

梅崎「あ~、課長と呼ばないと怒られるな」

金剛力士像には、張り紙がしてあった。
平成19年7月3日、売約済みと。

梅崎「19...7...3...」

梅崎は考え込んだ。

梅崎「19? 7? 3?」

30秒くらいして、彼はあることを直感した。

梅崎「19組の捜査ペア、7割は非公職者、3割は新人」

骨董品屋の金剛力士像は満足そうな雰囲気だ。

梅崎「課長、圧縮情報で暗号送って何をいいたいんだ?」

彼の怪訝な顔は、
何かを食べていないことによるものではない。

梅崎「俺と月本のペアは19組のうちのひとつか」

金剛力士像の顔をまじまじと見てみる。
ただの作り物の像だ。

梅崎「非公職者7割...新人3割...どういうことだ?」

梅崎は再びママチャリを動かそうとした。
しかしママチャリは、なぜか決して動かなかった。