動かなくなったママチャリを、
梅崎は無理には動かさなかった。

梅崎「これは...感づかれたか?」

街灯やネオンで照らされた街並みの中で、
梅崎の表情は消えていた。

梅崎「強引に動かしてみるか?」

梅崎はしばらく前方の空間を見つめた。
意識を何かに集中しながら。

梅崎「いや、向こうはそれを待ってるな」

どこからか吸収できるものを得ながら、
梅崎は感じた。

梅崎「あちらの様子が知りたい」

夜も眠らない街路に風が吹いている。
とても心地よい風だ。

梅崎「相手を覗いてみるか?」

梅崎の意識は、
街の雑踏とは違う世界にあった。

梅崎「いや、それも待たれてるな」

ほとんど確信に近い直感だ。

梅崎「違う手がいい」

梅崎はようやく進むべき方向を見つけ、
適切な判断を下そうとしていた。

梅崎「トミー、いるか?」

彼の周囲には通行人しかいない。

梅崎「トミー! 返事せい!」
猫「にゃ~」

突如、一匹の猫が現れた。
どこからともなく、梅崎の前に。

梅崎「俺の代わりに相手を探れ」
猫「にゃ~」

その猫は、にゃ~、としか鳴かない。
だがしかし、
あたかも梅崎と会話が成立しているようでもあった。

梅崎「行ってこい! トミー!」