ジーノ「ん?」
ジーノは唸った。
街の明かりが四人を照らしている。
ジーノ「誰だ! そこにいるのは!」
四人のほかには誰もいない。
カラオケ屋の前の街路の明るさは、
とても夜とは思えないほどだ。
ジーノ「お嬢さん、またいつか会おう」
月本「......」
ジーノ「おいティーノ、行くぞ」
ティーノ「♪」
ジーノとティーノの二人は、消えた。
月本と梅崎があとに残った。
梅崎「......」
月本「......」
ジーノはまさにこれから反撃しようというその時、
なぜか思いとどまり、そして姿を消した。
梅崎「どういうことだ?」
月本「......」
梅崎「あいつ、どうしたんだ?」
月本「......」
梅崎「俺たち以外に誰かいたのか?」
月本「......」
夜空には月が出ていた。
星々も煌めいている。
月本「私たちはフロントプレーヤーってことね」
梅崎「......」
月本「実は、裏から何者かがジーノを狙っていた」
梅崎「......」
月本「それをジーノは察知して...」
梅崎「......」
月本「この場は状況が不利と判断して退却した」
梅崎「......」
一陣の風が月本の顔を撫でた。
月本の黒髪がなびいた。
月本「私、まだ追われてるからもう行くわ」
梅崎「え?」
月本「じゃあね」
梅崎「おい、ちょっと待てよ!」
月本も消えた。
梅崎はママチャリの上で呆気に取られていた。
梅崎「トミー、おいトミー、いるか?」
猫「にゃ~」
梅崎は猫のトミーを呼んだ。
猫はそれに応えて梅崎の足下に現れた。
梅崎「腹減ったな、メシでも食いにいくか」
猫「にゃ~」
なんでこの人は朝から晩まで食ってばかりなのだろう、
などと猫のトミーは呆れていそうなものだが、
鳴き声はいつも、にゃ~、だけだ。
梅崎と猫も消えた。
カラオケ屋のネオンは、
四人と一匹がついさっきまで存在していた街路で、
いつまでも煌々と輝いていた。