広く暗い空間に、
灰野と弓沢の二人はいた。
マンションの一室のようだ。
薄く仄かな明かりのみが灯っている。
ソファーが二つ。
灰野は片方のソファーで寝ている。
弓沢はもうひとつのソファーに座っている。
目を閉じてソファーに横になっていた灰野が、
ゆっくりと目を開けた。
軽く顔を左右に振り、起き上がった。
小柄で小顔の灰野は
大きな瞳をパチパチさせた。
長い髪が色白の顔にパサリとかかった。
弓沢「逃げられたな」
灰野「......」
弓沢「あいつ、よく感付いたよな」
灰野「......」
弓沢は大画面の薄型テレビを見ていた。
そこには、テレビ番組ではなく、
カラオケ屋の店の前の街路が映っている。
灰野「艦長」
弓沢「な~んだ?」
灰野は弓沢を艦長と呼んだ。
灰野より年長の、独特のオレ様キャラの弓沢は、
クセのある笑顔を見せた。
灰野「ジーノ、手強いよ」
弓沢「ああ、モニター見てたから十分わかる」
灰野は口元を緩ませた。
ゾッとするような美貌で楽しそうに微笑んでいる。