以前、共同代理人の黛先生がこんな事を言っていたのを思い出します
この社会からいじめを無くしたい この裁判をその第一歩にするのだ
私は嘲笑いました 不可能だと思ったからです
勅使河原先生はカズヒコ君に虐めに立ち向かうべきだったと仰いました
はたして立ち向かえる相手なのでしょうか?
そもそもいじめの正体とはなんでしょう?
加害者生徒、教師、学校 いえ、そのどれもが本質ではありません 正体はもっと恐ろしい物です
それは教室だけで無く、職員室にも、会社にも、家庭にも この国のあらゆる処に存在します
我々は常に周りの顔色を伺い、流れに乗る事を強いられる
多数派は常に正義であり、異を唱える者は排除される いじめの正体とは空気です
特に右から左、左から右へと全員で移動するこの国では空気という魔物の持つ力は実に強大です
この敵の前では法ですら無力かもしれません すべてを飲み込み巨大化する恐ろしい怪物 立ち向かうどころか逃げる事さえ困難な相手です
あるいは藤井先生 いや、加害者であるアオヤマ君達でさえこの怪物に飲み込まれた犠牲者なのでしょう
しかし今回私は奇跡を見ました
飲み込まれていた者達が怪物の腹を食い裂き敢然と立ち上がったのです
カズヒコ君、藤井先生、そして2年C組34名の生徒達 どれ程の勇気がどれ程の覚悟が必要だった事でしょう
しかし彼等は確かに目覚め、自分たちの意志で空気を打ち破った 私は彼等の姿に希望を見、そして自らを恥じました
世界は常に前に進んでいるんだと気づかされたのです
敢えて申し上げます、この世界からいじめをなくす事は出来ます
この裁判をその第一歩にしましょう