あれから何日たったんだろう?
僕のことを一番可愛がってくれた叔父が
亡くなった。
叔父は自分のことを『おいちゃん』と呼んで
いて釣りが大好きで、よく電話かけて
きてくれて
『ケンジー、新鮮なカツオがはいったから
おいちゃんのとこまで食べに来い!』
などとしょっちゅう家に呼んでくれた。
それがあるとき『ケンジー、おいちゃん心臓の
手術することになった。大したことない、
2週間ほどで退院できるって医者は言っているから。』
コロナの一番流行っていた時期なので
おいちゃんにその間、面会できたのは叔母
ひとりだけ。
何かの数値が安定しないということで、
おいちゃんは集中治療室にいたんだけど、
夕食を食べた後、急に心臓が痛いと訴えた後、
そのまま亡くなってしまった。
おいちゃんはさよならもいうこともできずに
おいちゃんは逝ってしまった。
それよりも皆んなが思ったことは、
おいちゃん自分が死んじゃったことも分からず
今も暗闇をさまよっていたらどうしよう
という事だった。
天国いけたかな?暗闇のなかにぽつんとなってないかな? そんな事を思って日々を過ごしていたある夜寝ていたら
どーん!
とドアが豪快に開いて、満面の笑みでおいちゃんが
『おい、ケンジー!九州いくぞ!九州』入ってきた!
???!なぜに九州??というかおいちゃん
なぜにそんな元気なの?
色々疑問があったけど、なぜに九州というのが
一番の疑問!
『今から行くの?』
『そうだ!早くしろ』
釣りにでも行くのかなと思ったけど
おいちゃん手ぶらだし、とにかくおいちゃんの
後をついていく。
おいちゃんはいつもの様ににっこにっこの
笑顔で森の中をずんずん歩いていく
って気がつくと森の中?!
えっ九州じぁない!森です!森!!
などと思っていたら草むらからなんか出てきた!
あっ!姫ちゃんだ!
シッポぶんぶん振り回しておいちゃんと一緒に
歩いていく。
おお、姫ちゃん歩いている。楽しそう。
などと思っていたら一気に視界がひらけて
目の前に緑色の小高い丘が見えてきた。
姫ちゃんは一気に丘を駆け上っていく。
おいちゃんも丘のてっぺんまで登っていって
『ケンジー!ここでちょっと休憩しよう。』
おいちゃんの周りを姫ちゃんがぐるぐるまわりながらふんふんと匂いを嗅いでいる。
おいちゃんと一緒に丘のてっぺんに座ってるいると
おいちゃんはニコニコ笑いながら話し出した。
『ケンジー、おいちゃんはここに残ることにするわ。お前の犬と一緒にいるから心配するな。
だからお前は1人で帰れ。』
おいちゃんはニコニコ笑っている。横で姫ちゃんも
シッポ振っている。
1人で帰れってどうやって?などと思っていたら
『今きた道をそのまま戻ればいいだけだよ。』
『うん。わかった』
丘を下りて振り返ると
小高い丘においちゃんと姫ちゃんがたっているのが見えた。
おいちゃんと姫ちゃんはいつまでも笑ってた。
そして今来た道を歩き出すと同時に目が覚めた。
きっとまた会えるよね、おいちゃん。
我が輩の愛娘 仔犬だった頃の姫子ちゃん