サクのアニマルフリーク~元飼育係の動物園・水族館紀行~ -4ページ目

サクのアニマルフリーク~元飼育係の動物園・水族館紀行~

飼育係・アニマルトレーナーをしていたサクが、動物や自然についてをあれこれとお話するブログ。
全国250以上の動物関連施設を訪問したマニア目線からのレポートを中心に、施設の裏側、裏話などをご紹介します。
当ブログは全て、私が実際に体験した事や訪問した資料、写真を元に書いています。

ドイツのアクアリウムと動物愛護のお話の続き。


今日は、日本とドイツの水族館の違いについて。

大小100以上の水族館がある世界一の水族館大国の日本。
生き物を見やすく、美しく見せる展示方法を取っていて、来場者が生き物に興味が湧くような展示をしているのが特徴です。
このブログでも度々お話していますが、イルカ(鯨類)の飼育数も世界一で、ショーも多くの施設で行っています。


それに対してドイツの水族館。
動物園の敷地内に大きな水族館を併設している施設もありますが、ドイツの最大勢力はドイツ国内に8施設も展開している「シーライフ」という水族館。
シーライフは世界中で展開していて、日本では今年の4月に名古屋のレゴランドに併設される形でオープンの予定です。

またドイツには、
「世界最大の円柱水槽」
が何とホテル内にあります。
ベルリンにあるラディソンブルーホテルにある円柱水槽は、水深が25m、直径11m、水量100万リットルあり、約80種1500点の魚が泳いでいます。
水槽の中央は有料のエレベーターになっており、この水槽はホテルの部屋から見る事も出来るんだとか。
ラディソンホテルは日本の成田市にもありますが、さすがにこのような水槽はありません。

ドイツの水族館での展示は、自然を再現する事が基本なので、来場者は自然を学ぶ事が出来る展示の仕方をしています。
ドイツ国内でもイルカは飼育されておりショーも行われてはいますが、近年ではそのような行為は動物愛護の観点から反対の意見が多く、ショーも現在では2施設で行われているのみ。
飼育も減少傾向にあり、鯨類などの海洋哺乳類や大型魚類は模型などで見せている施設が多いようです。

ヨーロッパの国々では、政府が鯨類の飼育自体を禁止する国が増えて来ているのが現状です。


この自然を再現して、自然を学ぶという動物園や水族館の展示方法は教育に非常に生かされており、小さな頃から動物愛護の精神がドイツ国内には生まれているようです。


アクアリウムの世界も、このような考えや見せ方が反映されているようです。


…続く。


昨年末、世界三大アクアリウムメーカーの一つの日本支社の社長様からドイツのアクアリウム市場についてのお話を聞かせて頂きました。
今回は私の持っている知識とそこで聞いたお話を交えながら、ドイツのアクアリウムの世界をお伝えします。


ドイツというと、飼育動物の愛護制度では世界一とも言われている動物愛護の国。

特に犬・猫に対しての取り組みは世界的に有名で、動物たちを保護し、里親を探す為の「シェルター」と呼ばれる施設がドイツ国内には1000以上あると言われています。
このシェルターは、日本が江戸時代の1837年に第一号が出来たと言われていて、1870年代には動物保護団体が200以上あったと言われているます。



アクアリウムの世界では人口に対する愛好家の割合は日本と同じぐらいのようですが、世界三大アクアリウムメーカーと言われている内の2社はドイツに本社があります。
また、大手のアクアリウムメーカーの多くがヨーロッパに本社を構えている事からわかるように、日本よりもアクアリウム市場は大きいのです。

もちろん日本にもメーカーはたくさんありますが、アクアリウム機材の数は日本国内で流通しているものよりも欧米の方がはるかに多くあるようです。
実際、日本国内で流通している物も海外で生産された物のラベリングを日本国内用に替えて販売させている物が多くあります。


さてさて、ドイツのアクアリウム事情。

ドイツ国内では、猫、鳥、犬に次いで人気があるのが魚。

魚は犬や猫よりも販売や飼育に対しての規制は厳しくないようですが、ペットを扱うショップの多くはZZFという生体やペット商品を取り扱う店舗の加盟する連盟に属しています。
(もちろん加盟していない店舗もあります)

ZZFはドイツの動物保護法に沿った形で、1991年から販売するペット達が正当な扱いを受けるように独自の飼育条件を定めています(四つ足の生き物に対しての規制が特に厳しいようです)

ドイツでは、動物愛護法に加えて、犬の保護条例という物があり、さらにはこのZZFの定めた規則などがある為、例えば犬の場合は犬種ごとに必要な飼育場所の広さや環境などが細かく決められています。


その為、ドイツ国内のショップでは犬の生体は店舗にはほとんど置かれていないと言うわけです。


先にも述べたように魚に対してはそこまでの厳しい規制はなく、犬や猫とは違い広いスペースを必要とせずに多くの種を店舗内にストック出来る事から儲けという意味ではアクアリウムショップはペット販売の中では人気の業種のようです。
しかしながら、ドイツのアクアリウムの世界は日本とは違って自然を再現する事を前提としているので(後ほどお話します)、販売者は生物学に加えて自然学など多くの知識を必要とします。
その為に、アクアリウムショップ経営者には相当な学識が必要というのが一般的な認識なんだそうです。
日本で言うと、大学で専門的な勉強をして学芸員資格を所持した人がアクアリウムショップを開いているというような感覚です。 

そのような事から、儲かるけど…あまりやりたがらない、なかなか開けないというのがアクアリウムショップの世界なんだそうです。


まずこの段階で、ホームセンターなどを代表するように全く知識のないアルバイトが取り扱っている日本とは大きく異なりますよね!

ちなみに、取り扱っている魚の種類については日本の
方がダントツに多いとの事。
これは、日本は島国であり、水族館も非常に多くあるので魚の流通量が多い事などが関係しているのでしょうが、日本の場合は飼育が難しい種でも安易に販売している傾向があるような気がします。


日本ではホームセンターでも取り扱いが難しい種を販売していますが、本来は知識のないアルバイト販売員がその種を正確に取り扱えるわけがありません。


ドイツの場合は販売員の持ち合わせる知識量が非常に多く、国民の動物愛護の意識も高いので、おそらくむやみに種を揃えないのではないでしょうか!?


…続く


アクアリウムのプロデュース・レンタルは弊社まで♪
名古屋港水族館がシャチの人工授精の研究に本格的
に取りかかるとの事。


http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2018011102000059.html



シャチが性成熟を迎えるまでに時間がかかることや、アメリカでしか成功していない分野なのですぐには出来ない事は理解出来ます。


それでも、取りかかるのが遅すぎるのでは?


そもそも、新たなシャチが入手困難であるという事はこの水族館が新館を作り、シャチを飼育すると宣言した時からわかりきっていた事です。


国内の個体だけでは個体数を維持出来ない事も、わかりきっていた事!


かなり昔、私が水族館の上の方に人工授精の可能性について質問した際は、自然繁殖が可能な限りそちらを優先するという返答を頂きました。

もちろんそれは大切な事ですが、ラッコやゴリラ、ゾウ、コアラなどの飼育動物からもわかるように、そんな悠長な事言ってると完全に手遅れになります。
だって、研究はすぐには進まないし、数多くのデータが取れてこそ色々な事がわかるのだから。



アメリカでは各州でシャチや鯨類の飼育を禁止する条例が可決され、海洋生物の研究の分野で最高技術を持ち多大な貢献をしてきたシーワールドですら批判されシャチの飼育を終了する事になったぐらいです。



一番のノウハウを持つアメリカのシーワールドは批判の的の渦中にいるので、冷凍精子の提供すら出来ない状況と思われます。
だから中国の水族館と…的な事なんでしょうけど、飼育実績すら少なく、技術不足から生き物達がたくさん死んで行っていると言われている水族館の歴史の浅い国の施設と提携を結んだところで、期待が持てるとは私は思えません。
だって、シャチの飼育の歴史が一番浅いんですもん。

「研究するから一緒にやりましょうね~!」と言ったところで、一番大切な蓄積されたデータや技術が何もないに等しいんですから。



しかも、中国にいる個体は全てロシアで捕獲がされたもの。
一番研究が進んでいないとも言われているロシア産の個体なわけで、日本国内にいるシャチはアイスランド産の個体を親を持ちます。


シャチは生息域により生態が異なっている事が研究でわかっていて、人工繁殖とはいえ異なった生息域の個体同士の掛け合わせが上手く行くかは未知数です。


名古屋港水族館が、繁殖を目指してシャチを群れで飼育をすると宣言をして新館を作ってから何年が経ちましたか?
新館完成時にバングーバー水族館とも提携を結びましたが、繁殖は成功しましたか??





記事では国内初と言っていますが、鴨川も裏では色々な手段を検討、実施しています。
イルカの人工授精を成功させたのも、最終的にはシャチに挑む為のものですがシャチはもちろんベルーガですら成功していないのが現状です。


研究を始めるだなんて言っても、そんなに簡単には行きません。
だから、アメリカのシーワールドでしか成功していないんです。

そもそも、名古屋港水族館が大学に協力を求めてって内容が私的にはどこか気に入りません(笑)

大学と共同研究をする事は素晴らしい事だし、各地の動物園や水族館でも実施されています。
でも、その多くは大学側からの研究申し出を受ける事が多い気がします。



今回の記事だと、水族館が大学に「助けてー」と言ってるようにしか私には聞こえないんです。


鴨川のイルカの人工授精の時みたいに、水族館が主導してやりました!とは違います。


協力を求める事は良い事ですしこの水族館では今までも大学がシャチについての研究をしていますが、その研究成果の発信も大学が主体な気がします。



なんか、大学や提携施設ありきな姿勢に感じてしまうのは私だけでしょうか?



私的には、国内のシャチ達は今後ラッコやアフリカゾウと同じ道を歩んで行くものだと思っています…