岐阜大学応用生物科学部 楠田博士の
「排泄物を用いたホルモン測定による飼育下海獣類の
繁殖生理モニタリング」
という研究。
飼育下個体では血液を採取して体内の性ホルモン値を
測定する事で、数値の変動から排卵周期の把握や
妊娠診断等がわかる事が今までの研究でわかってきていました。
しかし、血液では採取をする為のトレーニングが必要な事と、
野生個体では測定が出来ないという問題点がありました。
また、採取するにあたり動物たちにかかるストレスという問題もありました。
(血液を採取するというトレーニングにおいては、ゾウや類人猿を除いては
ほとんどされていなかったというのが現状です。近年では、
キリンやジャイアントパンダなどでも実施はされていますが、それ以外の
動物では麻酔や保定をして採血をする必要があった為)
そこで、楠田博士は糞中で測定した値が血中の値とほぼ変わらないという事に
着目し、動物園の陸上動物を中心に糞から得た数値で繁殖生理を
把握するという研究を行っていました。
その中で、水中という本来は糞の採取が困難であった海獣類において、
採血や体温測定を行う為のトレーニングが行われている事に着目をして
以前飼育されていたシャチの「クー」において
シャチでは世界で初めて排泄物によるホルモン測定を行ったのです。
少し話はずれますが・・・
北米の動物園では
飼育下における繁殖個体の割合は哺乳類で90%以上、
鳥類で75%と言われています。
(動物園にいる動物たちが飼育下で繁殖した割合)
水族館に目を向けてみると、北米では
イルカは1980年代以降から、シャチは1990年代以降からは
保護個体以外は野生からの導入は行っておらず、
飼育下繁殖が計画的に行われています。
それに対して日本はというと・・・
繁殖を度外視しているとしか思えないような施設の設計と
運営体制に加え、
毎年多くのイルカ達を野生から導入をしているありさま。
シャチだけに注目をすれば、
アメリカでは1961年から飼育が始まり、1985年に飼育下繁殖、
2003年に人工授精に成功して継続的に繁殖が実施されているのに対し、
日本では1970年に飼育が始まり、繁殖の成功は1998年で
人工授精に至ってはいまだかつて成功すらしていないのが現状です。
今回のこの研究で多くのデータが蓄積されるようになれば
今後性周期や出産時期を把握する事が可能になる事で、
繁殖計画の作成や出産準備などに活かす事が
可能になってくるのです。
・・・続く。

