保護活動 | サクのアニマルフリーク~元飼育係の動物園・水族館紀行~

サクのアニマルフリーク~元飼育係の動物園・水族館紀行~

飼育係・アニマルトレーナーをしていたサクが、動物や自然についてをあれこれとお話するブログ。
全国250以上の動物関連施設を訪問したマニア目線からのレポートを中心に、施設の裏側、裏話などをご紹介します。
当ブログは全て、私が実際に体験した事や訪問した資料、写真を元に書いています。

日本唯一のアザラシ保護施設【オホーツクとっかりセンター】


アザラシは、平成15年からは鳥獣保護法の保護対象にもなっていますニコニコ


保護活動はまず、市民からの通報から始まります。



親からはぐれてしまった子供や、ケガや衰弱をしている個体がいるととっかりセンターに搬入をして様々な検査を行います。



・体重測定
・様々な部位の計測
・採血
・聴診
などの健康チェックです。


運ばれてくる個体の多くには、衰弱、脱水、肺炎などの症状をおこしている事が多いそうで、まず保温をしてから血液検査の結果を参考に皮下注射による投薬や水分補給の初期治療を行います。



時には、強制給餌を行う事も。

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その後は、最終的な野生復帰を目指して毎日様々な事を確認しながら飼育が行われます。
(通常の飼育個体と同じですが)

・鼻水、ヨダレ、涙はないか!?

・息の臭い、呼吸数はどうか!?

・排泄物の色、量、臭い、固さ、中に混入物や寄生虫がないか!?

・体温

・体重(一ヶ月に2回測定→餌の量や種類を調整)

・肺音、お腹の音チェック

・餌の食い、口の中の色はどうか!?(口の中の色は元気だとピンク、体調が悪いと白色をしています)

・体の傷の状態確認




1頭づつにそれぞれの記録ノートが作られており、治療経過などを記入しています。


このように記録を蓄積をするというのは、非常に重要ですニコニコ

家畜やペットと違って野生動物の治療というのはまだまだ研究が進んでいない分野ですし、野生動物の治療を専門とする獣医というのも少ないので、とにかく過去の経験を生かしながら治療をするというのが重要になります。


また、ここのように野生のアザラシを保護、治療を専門的に行っている施設というのは他にはないので、野生動物の研究分野はもちろん、水族館動物園業界においても非常に貴重なデータでもあるんですねアップ



さて、回復して来た個体は、次の段階として泳ぎの練習や水中で餌を食べる練習に入ります。



餌は最終的には、生きた小魚をプールに入れて自ら採れるようにトレーニングです。
(人から餌を貰ってる事がわからないように、プール前に遮蔽物を置いてスタッフの姿が見えないように距離を置きます)


水族館が鯨類を保護した場合でも、海に返す事を前提にしている場合は極力人の手から餌を与えないようにするんですしょぼん



人に慣れさせすぎないというのが、非常に重要なんですねアップ


完全に回復をすれば、後ろ脚に識別タグを付け、定着網漁が始まる前にガリンコ号に乗せて沖合でリリースをしますニコニコ


飼育されている個体には、飼育係手作りの特別住民票が交付されますにひひ
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このような手作りの看板は、スタッフ達の愛情や情熱を感じますねアップ
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この特別住民票の凄い所は、よく見ると市長の印がちゃんと押されている事ニコニコ


市の所有する施設だからというのはもちろんあるでしょうが…
このような遊び心がある看板、しかも市民としての「住民票」発行を市長が正式に許可しているというのは、市側の理解がちゃんと得られている証拠キラキラ


餌代のかかる海獣類を複数飼育しているうえに、 入館者数も決して多くない赤字運営であろう施設を、市が重要性をきちんと理解して支援しているというのは本当に素晴らしい事ですビックリマーク

このような施設はその価値というのが表には現れにくいですが、これからも頑張ってもらいたい物です。