こんばんは!

引き続き、読書感想文を。



こちらも先日読みました本、乾くるみさん著の『イニシエーション・ラブ』です。


前回のセカンド・ラブを読む前に、読みました。




イニシエーション・ラブ (文春文庫)/文藝春秋
¥626
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本屋のPOPに「最後の二行の先読み禁止!」と書かれていて、すっごく気になった本です。

タイトル的には恋愛小説なんだろうな、と思って、恋愛小説大好きな私はすぐに購入しました。

でも、最後の二行が気になって気になって…読むペースがいつもより早かったのも覚えています。



以下、ネタバレになりますのでご注意を!!!

(乾くるみさんの『セカンド・ラブ』のネタバレも含みますのでお気をつけくださいませ)






















ここからネタバレです。



たっくんとマユ、二人の出会いから別れのストーリー。たっくんの初めての恋、遠距離、心変わり、そんな内容だとばかり思っていました、最後の二行を読むまでは!


最後の二行で、全身に鳥肌が立ったのを今でも覚えています。

それくらい、ブワーって、悪寒がしました。それまでは「たっくんモテたからって調子乗ってんなよー」と思っていたのに、一瞬にしてそれが恐怖心に変わりました。



え?何で辰也?偽名?え?どゆこと?夕樹は死んだの?



こんなことばかりぐるぐる考えて、気になってしまったので、最後の章、終盤あたりをもう一度読み直し。

でも、よくわからず、考察をされているネタバレサイト様の解説を拝読し、、、



あ、マユが二股かけてたのね。

スッキリしました。




この本のラストの衝撃は、ミステリーを読まない私としては、初めての体験でした。

でもね、マユみたいな子は結構いると思う。いや、二股かけて二人に同じ渾名をつけたりしてる人はあんまりいないかもしれませんけど、自分を一番に思ってくれる人じゃなきゃ嫌だ、っていう女の子は多いんじゃないかな、うん。だって私もそうだし(笑)

だからね、同性だからっていうのもありますが、マユが可愛く思えてきちゃいました。


レビューには、マユが怖い、という意見もありましたが、私には行動力のある人だなと思っています。

だって、マユを大切にしている夕樹とは、いい関係を築けているわけですから。二股はよくないけど、夕樹が幸せならいいのかなって思っています。夕樹は二股かけられているとは知らないわけですからね。まぁ、就職して遠距離になったらどうなるかはわかりませんけど。。


これはあくまで私の意見ですが、同じ乾さんの本『セカンド・ラブ』と比べると、マユなんて可愛いモンですよ。あの魔性の女――春香(とここでは呼びます)に比べたら全然。だってマユは誰にも迷惑かけてないし被害だってでてないもん。春香は、酷い言い方をすれば正明を殺したようなもんですから、ね。っとまぁ、正明にも非はありましたけどさ…




この本の最大の魅力は、ラストの二行でちゃんとネタばらし(種あかし)ができていることでしょう。

最後のたった二行で、ストーリーががらりと変わります。そこが最大の魅力であり、すばらしいトリックなんだと思います。

今思うと、ミステリー=殺人、という私の中にあった先入観が、たったの二行で取り払われてしまいました。


でも残念なのは、このテの本は一度最後まで読んでしまうと、ネタを知らなかった気持ちで読むことがほぼ難しいこと。これだけは残念で仕方ない。私が最初に読んだ時の、あの悪寒、恐怖心はもう二度とこの本では味わえないでしょうね。



読後感といい、伏線といい、どれも新鮮で私はこの本は好きです。

読んでない方はぜひ読んでいただきたいです。



このイニシエーションラブをきっかけに、乾さんのセカンド・ラブを読まれた方も多いと思います。

私もそのうちの一人です。

セカンド・ラブは、イニシエーションラブとは比べものにならないほど、怖いお話です。

前述のとおり、マユが可愛く思えてきちゃうほどです。それに、セカンドラブでは、読者さんの多くがネタばらし(種明かし)的にとらえられることを、登場人物同士が最後に語ります。私は、あの会話は伏線であって、ネタばらし(種あかし)だとは思っていませんが。参考までに(ネタバレ含む)→セカンド・ラブの記事



そして、セカンド・ラブとイニシエーション・ラブは似ても似つかないお話です。本屋さんのPOPで、「イニシエーション・ラブの衝撃、再び」みたいなことが書いてありますが、同じようなお話だと思って読むのは間違いだと思っています。セカンド・ラブの方が、いろいろ読者側の想像力を働かさせ、よりミステリアスな内容です。

だからか、この二つの作品を、優劣をつけて比べてはいけないものだと思っています。

圧倒的にイニシエーション・ラブの方が評価も高いし、単純なトリックなだけあって人気もあると思います。

でもセカンド・ラブの魅力は、なぞが謎に包まれたまま、ということなのでしょう。

私はそういう考え方をするタイプなので、皆さんと意見が合わないかもしれませんが、どうぞお気を悪くされませんようにお願いいたします。