8本目。

 

原題:Broker

監督:是枝裕和

キャスト:ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、イ・ジウン、イ・ジュヨン

 

2022年韓国映画。キャストは全員韓国人ですが監督は「万引き家族」、最近では「怪物」を撮られた是枝監督。主役のソン・ガンホは「パラサイト」など多くの有名作品に出演されています。是枝監督の過去の作品の多くは寄り添って生きる社会的弱者らの姿に焦点を当てたものが多く、今回の作品もまた彼らに対する監督の温かいまなざしを感じるストーリーでした。

 

わが子を一度は赤ちゃんポストに捨てた若い母、その赤ちゃんを売ってお金に換えようとした大人たち・・主な人物らはみな、幼い頃に実親に捨てられた人たちばかり。とっても愛に飢えていて、家族を求めていました。そういう明確なセリフは出てこないのですが、ふとそれが感じられる場面になると胸が痛みました。血はつながっていないけれど、同じような立場だからこそわかりあえる彼ら。養父母探しの旅の彼らはまるで家族の旅のようでした。当初は赤ちゃんを高額で買ってくれる人物を探していたけれど、誰の根っこの部分にも善の部分が残ってたことがこの物語に希望を感じられる側面でした。

 

若い母親が発した「産んでから捨てるより、産む前に殺すほうが罪が軽いの?」という言葉。捨てるくらいなら生まれる前に殺してしまう(堕胎)ならそれは正しい選択なのか。重いテーマだと感じました。「生まれてくれてありがとう」っていうシーンも心に残りました。誰もがその存在だけで誰かの救いになっている。なかなかそれに気づけないのが現実ですが。。

 

この映画を先にみた知り合いがいまひとつだったっていう感想をいってたのを思い出しました。なんていうか最後はもやもや~とした終わり方なんです。「結末は観る人の想像力に任せますよ」っていうこのはっきりしない終わり方はフランス映画ぽくて、アメリカ映画のように100%明確に結末を提示されるより、実際ずっと深くじんわりと余韻が残る感じがしました。捨てられた赤ちゃんは実際はみんなから守られていました。いい映画でした。