山形の旅、翌日は山形市内にある文翔館を訪れました。山形県のかつての県庁と県会議事堂であり、現在は国の重文に指定されています。クラッシックな外観に惹かれ、是非内部も見てみたいと思いました。
建物が二つあります。下の写真では奥が旧庁舎、手前が旧県会議事堂です。二つの建物は廊下で結ばれています。
共に明治時代の初期に建設されましたが大火で焼失しました。現在の建物は大正時代になって復原されたものです。戦後に建てられた効率一辺倒の四角い、味気ない建物に比べて、様式美を感じるつくりは目にするだけで心がときめきます。昭和50年まで県庁舎として使用されていたそうです。
正面玄関から中央の階段。階段の両脇には大理石の柱。ヨーロッパの古いホテルみたいだと思いました。
今の日本なら有名観光地にあるクラシックホテルみたいですね。細部にまで装飾が施されていて、ついつい立ち止まってしまいます。
正庁。訓示や辞令交付、重要な会議に使われた部屋で、ひときわ豪華な内装でした。愛知県の明治村に行くと昔の日本の洋風建築が多く移築されているのですが、かつての役所的な建物など現代とは全く違う豪華さ、特別感です。今回も思いましたが、当時の一般庶民の住居や暮らしのレベルを考えると、「公務員として働く」ということのステイタスは現在の何倍も高かったのではないかな。
廊下からみえる中庭越しの建物。この建物、外壁はシックなグレーですが中庭に面した内壁は赤レンガ。雰囲気ががらっと変わります。
展示室になっていたり、貴賓室や知事室など当時の様子を再現した部屋などが続きます。ここはどこだったかなあ??高等官の食堂だったか。ゴージャスな部屋がずっと連なっていて、記憶があやふやです。間違ってたらごめんなさい。
知事室。庁舎というよりもヨーロッパの邸宅を訪れているような錯覚に陥ります。
壁紙に描かれているのはザクロやブドウ。当時の壁紙の模様から写しとり復原したそうです。絨毯は山形で織られ実際にこの部屋で使われていたもの。
貴賓室?
展示品のひとつ。山形名産の紅花。
紅花で染めた着物。
こんな展示も。東北地方は特に凶作の年は大変でした。家族のために娘が身売りされたり、そんな時代もありました。
戦時中のスローガン。
山形県の天童市は将棋の駒の産地。
こけし人形は日本の伝統産業のひとつですが、貧しかった時代の悲しい歴史があるのですよね。
かつての出納事務局。
窓口というかカウンターも復元されていました。
再び中庭。
こちらは廊下をわたった先にある県会議事堂の議場ホール。かまぼこみたいな形をした天井はヴォールト天井というそうです。現在は発表会やコンサートなどでも使われているのだとか。
これだけ立派な建物を見学できて、入館料はかかりません。近くの駐車場も無料。古い味わいのある建築物をみるのが好きですが、ここは本当に行ってよかったところでした。この次は山形市内から40kmほど離れた米沢市に向かいました。続きます。