山形の旅、蔵王山から戻って次に訪れたのが山形市内の立石寺です。「奥の細道」との指標があるとおり、ここは松尾芭蕉の有名な俳句、「閑けさ岩にしみいる蝉の声」で詠まれたお寺です。・・という程度の前知識しかない状態でやってきた山寺。なんと1000段を超える石段があることを駐車場に到着してから知りました。
え!
境内の案内図を見て私のような体力ナシのへたれが一番上まで行くのは無理かもって思いました。山の真ん中くらいまで行けたらよしとして、その辺で引き返そう・・くらいの気持ちで入山しました。
ところが。石段をのぼるたびに次々に視界に入ってくる奇岩・怪石の光景に魅せられました。「次は何がみえてくるのかしら」という期待で、どんどんと石段を進み、ところどころで立ち止まっているグループにいるガイドさんの話を後ろから聞かせてもらったり、また進んでは立ち止まって写真を撮ったりしているうち、いつのまにか山の上に到達。結果的には1000段超をクリアして奥の院までいくことができました。
いま思い返しても、想像していたほどしんどくなかったのが不思議です。疲れが記憶に残ってないのです。開山堂から見えるパノラマの絶景、吹いてくる風の気持ちよさで道程のハードさがすっかり打ち消されてしまったような気がしています。
以下、山をのぼっていった順番に写真を載せます。まずは登山口の石段から。石段の先にあるのが根本中堂。まだまだ山裾。
根本中堂。
ホームページの説明によると全体の6割にブナ材が使われ、ブナ材建築物では日本最古の建物なんだそう。国の重文。
ここにおられる布袋さま。
福顔の布袋さま。身体の悪いところを撫でて願い事をお祈りするのだそう。たくさんの参詣者に撫でられて全身がぴかぴか。
ご神木の大イチョウ。山形最大だそうです。
念仏堂。まだまだここは山裾の平地。
鐘楼を過ぎて山門へ。ここから。
山に入ったところから。新緑の中に大きな奇岩がせりだす奇観?異観?ていうのか。パノラマ的な絶景ではないけれど、不思議な景観。同じように岩がある尾道のお寺よりももっと原始的な雰囲気。
芭蕉さんも見上げただろう巨岩。「岩にしみ入る」ってこんな大きな「壁」のような岩だったのかと。私はもっと小さい、日本庭園のところにあるくらいのこぢんまりした岩かと思ってました。笑 真夏に蝉が大合唱するさまを脳内で想像してみました。この景観の中でもう一度あの17文字の俳句を思い起こすとそこから広がるスケール感が全然違うんですね。
参詣路。このあたりは岩の脇にある細い道をあがっていく感じ。
遠い昔からの祈りを感じる場でした。
岩と杉木立ばかりの道から抜けると仁王門が見えてきました。赤モミジが印象的。
この辺でようやく半分くらい。さあ、まだこの先へ。
本当の絶景はこの次から。長くなるのでこの辺でいったん切ります。
そうそう、入り口のところに、石段を上がるたびに煩悩が消滅する、ということが書かれていましたが、途中で出会ったガイドさんが「自分は何回も上がっていて、その時は気持ちがスカッとするけれど、地上に下りたらまた煩悩が芽生えてくる」なんてことを仰っていました。
まあ、煩悩は少ないほうが生きやすそうだけれど人間である限り無くなることはなさそうですよね。下は仁王門に貼り付けられた千社札。こんなのをみると自己顕示欲ともいうのか・・煩悩を思わずにいられませんでした。↓ (笑)