サルバドール・ダリ コレクション|諸橋近代美術館 (dali.jp)

 

 

全景は適当な写真がなかったのでネットからお借りしました。今回、福島県まで行ったらぜひ訪れたいと思っていた場所のひとつがここでした。サルバトール・ダリの絵画、彫刻、版画などアジアでは最大規模のダリ・コレクションをもつ美術館です。美術館の建物自体がまるで宮殿のようであるだけでなく、美術館の位置する土地の形状が素晴らしく、またそこから見える磐梯山の美しいこと!都会ではなく「磐梯高原のこの場所」にあるからこそだと思う美術館でした。

 

美術館を斜めから。

 

磐梯山。今回、いろんな角度から磐梯山を目にしましたが、ここからの眺めが一番印象深い山の姿でした。そして360度、どこを見ても絵になる風景がありました。

 

 

 

 

 

企画展「ダリとハルスマン」展が開催中でした。

 

 

 

ハルスマンの名は初めて聞いたのですが、ダリの見開いた目とピンと逆さまに立てた髭のポートレートを撮影した写真家です。広く知られているダリ本人のイメージを引き出した人物だったのですね。マリリン・モンローやA・ヘップバーンのポートレートを撮ったと解説で読み、「きっとあの写真も、この写真も・・」と頭に浮かびました。ダリとは37年にわたって共同制作を続けたそうです。作品の一部は撮影可だったので撮影できた写真をここに紹介したいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

面白い発想のアート作品をたくさん世に残した人、という印象が強かったダリですが、今回の展覧会で知ったのは、彼は太平洋戦争時の日本への原爆投下に衝撃を受け、その後は原爆の影響を色濃く出た作品を制作していることでした。

 

これは撮影不可だったのでネットからお借りしたものです。「ビキニの3つのスフィンクス」というタイトルです。

 

 

ビキニ諸島でのアメリカの核実験に影響を受けて描いた作品とのこと。手前のキノコ雲の中心にはアインシュタインの横顔が描き込まれています。これらキノコ雲はそれぞれ広島、長崎での原爆投下、そこで発生したキノコ雲を表わしているのでしょうか。

 

これも原爆のイメージですよね。写真はネットからお借りしました。「私は原子爆弾に思いふける」というタイトルです。

 

 

彼の時代はまだCGとかなくて、これ、ダリが水槽の水の中で牛乳を吐き出して撮影したのだそうです。本人も苦しい撮影だったかと思いますが💦、大きく撮られた苦しそうなダリの横顔とそこから吐き出されるキノコ雲に見立てた牛乳の泡立つ様子・・、とても強烈なインパクトがありました。芸術家のひとたちは普通の人の何倍もの豊かな感受性をもっているからこそ、ある事象に接した時の衝撃も私たちが感じるもの以上だろうし、その表現方法もまた普通には想像がつかない方法だったりするのかもしれません。

 

ダリ作品は他にもたくさんあって、大変興味深かったです。それぞれが意味することを想像しながら眺めていたりするとあっという間に時間が経ってしまいそうでした。

 

全ての作品の中で私が一番好きだったのが「ダリ・アトミックス」という写真です。これもハルスマンとの共同制作です。写真はネットからお借りしました。

 

 

原子力に関心を持つようになったダリは「原子力のもとでは全てが浮遊している」という概念からこの作品を撮ったそうです。この撮影裏話的な関係者のインタビューを会場のビデオで見たのですが、全てアナログ手法による撮影だったというのがまた面白くて。

 

イーゼルは天井から吊り下げ、左端の椅子は奥さんがフレームの外側から持ち、アシスタントが水をかけたと同時にダリの娘さんたちが猫たちを放り投げ、ダリがジャンプする瞬間をハルスマンが撮影したというもの。一回でできるわけがなくて何時間にもわたって20回以上、撮影が繰り返されたのだそう。その都度、水で濡れた猫たちの身体を娘さんたちが拭いて、イワシをあげてご機嫌を取っていたそうです。意味もわからず何度も飛ばされるにゃんこの気持ちをつい考えてしまう。(笑)私自身が猫好きということもあってか、ネコが空中を飛ぶこの写真に惹かれ、コピーをお土産に買って帰りました。フレームに入れて部屋に飾ります。

 

ここはぜひまたいつか再訪したい、本当に素敵な素敵な美術館でした!