3年ぶりに正倉院展を観覧してきました。日本で一番混む展覧会といわれてます。コロナ禍以降は時間予約制になりました。人数が制限されるためか観覧料も2000円!このインフレ率なに?凝視 じゃあ空いてるかといったら初めて行った15年前ほどではないにしろ、かなり混んでました。

 

 

正倉院に納められている宝物は全部で9000点ほどあり、その中から毎年70点前後が一般公開されます。千年以上昔の品々が驚くほど良い状態で遺っていることに毎回感慨を覚えます。遥か後世の戦国時代やもっと近年なら戦中の頃の日用品を見せられてもそちらのほうが古く感じそうなものが多いです。教科書に載っている「校倉造り」の保管機能って日本の気候なども知り尽くして考えられたすごい技術ですね。

 

今年の陳列は・・正直なところ、ビジュアル的にはやや地味な印象でした。主役級のこれ!というお宝がなかったように思います。印象深かったものについて、ネットからお借りした写真をいくつか。

 

全浅香という名の香木。千年後の今でさえ香りがするそうです。ガラスに隔てられているのが恨めしく思えました。

 

 

原木はベトナムやラオスの山岳地帯にしか自生してないそうです。これをどうやって日本まで運んできたのでしょう。当時の物流ルートや政治的な関係ってどんなのだったの?ってどんどん想像が膨らみます。

 

銀壺(ぎんこ)。

 

 

口径42.9センチ、胴径61.3センチとかなり大きな銀の壺。日本で作られたものとの説明でしたが表面に動物の文様が線刻されていて、ペルシアあたりの品をみているかのよう。都が京都に移ってからとは全く違う文化が奈良にあったのを感じます。

 

伎楽面。

 

 

お面も過去に何度か見ました。仏様へ舞を奉納することがあったためか正倉院にはお面が多く納められているようです。当時は猪の毛だったか、口周りに植毛されていてもっとワイルドなお面だったとのこと。美女を追いかける悪者を退治するという勧善懲悪ものの舞の主役だそうです。頭からすっぽりかぶるかたちのものでかなり大きいです。同時陳列されていた衣装をみても当時の日本人(というか支配者は大陸人?)はかなり長身だったのではって思いました。

 

今年のポスターに使われていた八角鏡。

 

 

黒漆に金、銀で文様が描かれたもの。とても繊細な感じです。こうした工芸品を作り出した人たち、愛用した天皇も遥か遠い昔に地上から消えているのに宝物だけがずっと残っているのが不思議な感じ。

 

あと毎回展示をみて驚くのが文書類です。目が疲れてしまうので内容まで全部見る気はしないけれど、紙が黄ばんだりとかしてなくて、20~30年くらい前の紙?って思えるくらい状態が美しいのです。一部内容を読んでみた中に九州あたりのどこかの村の戸籍というのがありました。当時、奈良の都から遠く九州の土地に住む人の人数まで把握していたこともすごいなあと思う一方、記載されている人たちの名前の羅列をみているとなんか戸籍の記載自体が朝廷の財産目録に見えてきました。当時の庶民にちょっと同情。

 

一通りみて周って一時間強。ほどよい疲れでした。さてこの後はホテル日航のラウンジへ。

 

 

奈良公園の近くにある氷室神社にあやかってのようですが、奈良では通年かき氷を提供するお店がいくつかあります。今回いただいたのはヨーグルトとみかんのエスプーマ(泡状にしたもの)をかけたかき氷。氷の中にはみかんの果肉とグラノーラが入っていてあっさりめのスイーツをいただいているような感じでした。以前は昔ながらのかき氷を食べると頭が痛くなったりお腹を壊したりしたのですが、このふわふわ氷は身体が冷えすぎることがないのかそれがありません。作り方に何か秘密があるのか一個つくるのに結構時間がかかってました。